「こどもの麻酔導入」
・小児の気道解剖
・頭部、特に後頭部が大きく仰臥位で気道が屈曲しやすい。
・アデノイドや口蓋扁桃が比較的大きい。
・口の中で舌が占める割合が大きい。
・喉頭が成人と比較してより頭側かつ全面に位置している。
・喉頭蓋が長くU字型をしている。
・気管長が短い。
・気管最狭部は声門直下の輪状軟骨部である。
→成人挿管に慣れている施行者にとって難しい原因。
・マスク換気
・頭部が全身の中で比較的に大きく、特に後頭部が大きい。
→仰臥位で気道屈曲、閉塞傾向になるリスク。
→2歳以下では肩枕が必要。
→3歳以上ではsniffing positionが有効。
・EC法が基本
・基本はマスクフィットのみで換気可能。
・マスクは軽く密着させる。
・頸部の軟部組織を押さえつけない。
・頸部を少し右に傾けると換気しやすい。
・自発呼吸に合わせて換気する。
→決して胃に空気を入れてはいけない!
・腹部膨隆に合わせてバッグを押す。
→腹部が凹んだらバッグを離す。
・マスク換気は可能な限り低圧で。
・バッグが完全に膨らみきらない程度に維持。
・乳児なら新鮮ガス総流量も少なめ(3L以下)に。
・1回換気量は少なめ、その代わり回数で稼ぐ。
・マスク換気困難の可能性は?
・先天異常による頭蓋形成異常
・顔面熱傷
・外傷後の下部顔面の異常
・病的肥満(乳児ではまれ)
・頸部可動域制限(乳児ではまれ)
・重症喘息発作・・・
・挿管困難で有名な様々な疾患もマスク換気困難であることは
非常に少ない。
・小児ではOPAを使用すれば、上気道の問題で
マスク換気困難となることは極めて少ない。
・OPA(経口エアウェイ)
・意識消失、咽頭反射消失後に使用。
・舌根沈下による気道閉塞を防ぐ。SAS系には極めて有効。
・ただし・・・
・誤嚥誘発のリスクあり。
・喉頭痙攣誘発のリスクも。
・短すぎると気道閉塞。
・長すぎても気道閉塞。
・喉頭展開
・小児は食道入口と声門を誤認しやすい。
・小児は成人と比較してFRCに対する酸素消費量が大きい。
・さらに小児は術前酸素吸入に非協力的である。
・肺高血流性疾患ではそもそも酸素投与が禁忌である。
→無呼吸によるdesaturationが早い!
→無呼吸時間を伴う挿管操作を極めて短縮する必要がある。
・デバイスは何を使う?
・マッキントッシュ喉頭鏡、ミラー喉頭鏡、AWSなど。
・近年はAWSが注目されている。
→マネキンを使用したstudy
→Millar喉頭鏡群と比較してAWS群で挿管成功率が上がる。
・1歳以下はAWSが有効。
・正中挿入法が推奨される。
・挿入時は十分な頚部後屈を。
・乳児用イントロックは目標より右側にチューブが進む。
→声帯に当たれば無理せずチューブを回転。
・決して無理して押し込まない。
・気管内挿管
・小児の気管は声門下、輪状軟骨レベルが最狭。
→チューブが声門を通過してもその先に進まない可能性。
・無理して浮腫を作ると気道抵抗が急上昇する。
・Poisuilleの法則。
・声門下でチューブが進まない!
→無理せずワンサイズ細いチューブに変更する。
・頑張り過ぎると気道浮腫により換気すら困難となる。
・細い!と判断した気道には無理に触らない!
・カフ付きか、カフなしかについては症例を吟味。
・挿管前にどうしても抹消静脈ラインが取れない時
・吸入麻酔のみで挿管可能。
・充分に麻酔が深くなったところで上手な施行者が1度で挿管する。
・ただし高濃度Sevoの吸入は痙攣を誘発する。
・痙攣により換気困難になることは少ない。
・神経学的ダメージの有無はわからない。
・導入方法
・小児は導入前酸素吸入に非協力的である。
・小児は成人と比較して酸素消費量が大きい。
・低酸素から徐脈に至るまでが早く、結果も重篤である。
・(慣れてない施行者が)短時間で挿管できるとは限らない。
→迅速導入(RSI)はリスクが高い。
・full stomachでも愛護的に換気しながら急速導入
・胃管挿入、吸引後に急速導入
・modified RSI(輪状軟骨を圧迫しながら換気)
・ベイン回路について。
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