「線溶系と抗線溶薬」
・抗線溶薬
・TXA(トラネキサム酸)
・EACA(イプシロンアミンのカプロン酸)
・アプロチニン
・TXAとEACA
・共にリジン誘導体
・TXAは血中で分解されるとEACAに
・プラスミノゲンのリジン結合部位と結合
→プラスミノゲンのフィブリンへの吸着を阻止
→抗線溶作用を発揮
・アプロチニン
・セリンプロテアーゼ阻害薬
・プラスミン、カリクレイン、トリプシン、
キモトリプシンを効率よく阻害する。
・1987年、心臓外科手術の出血を減らすことが偶然発見された。
・現在は使用中止
・トラネキサム酸(TXA)
・全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
・局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
・湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹における
紅斑・腫脹・掻痒
・咽喉頭炎・扁桃炎における咽頭痛・発赤・充血・腫脹
・口内炎における口内痛及び口内粘膜アフタ
・メラノサイト活性化因子「プラスミン」をブロック
→メラニン発生の要因のひとつ
→肝斑の原因となるメラニンの発生を抑制
→肝斑を薄くする
・化粧品や歯磨き粉にも含有
・トラネキサム酸と外傷
・CRASH-2 trial
・40ヵ国274施設から重篤な出血あるいはそのリスクを有する
20211例の外傷患者
・トラネキサム酸投与群と非投与群で比較
・初回負荷量1gのトラネキサム酸を10分間で投与後、
更に1gを8時間かけて持続点滴
・主要評価項目は受傷後4週以内の院内死亡
・死亡原因を出血、血管閉塞(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓)、
多臓器不全、頭部外傷、その他のカテゴリーで分けた。
→死亡リスクを有害事象の増加なく安全に低下させた。
→血管閉塞イベントによる死亡、イベントに有意差なし。
→輸血の必要性や輸血量に有意差なし
・トラネキサム酸と手術
・Systematic review and meta-analysis
・1972-2011の10488例の手術患者を含む129 trialsが対象。
→輸血リスクはTXA投与群は38%低下
(リスク比:0.62、95%信頼区間:0.58~0.65、P<0.001)
→血栓性イベント(心筋梗塞、脳卒中、PE)
Mortality TXA投与群は39%低下
・ただしadequate concealmentのtrialに限定すると有意差なし
・TXAと心臓外科手術
・Anesthe Analg.2012 Aug;115(2):239-43
・231人のOPCAB予定の患者をTXA群とプラセボ群に割付
・主要転記は術後 24 時間のチェスト・チューブ排液量、
また輸血、死亡率、重大な合併症、医療材料の使用量も評価
→ドレーン排液量、輸血量はTXA群で減少
→死亡率、合併症率、医療材料使用量は有意差なし。
・TXA使用時の注意点
→痙攣
・2004-2009年の心臓手術を施行した患者8929人について、
痙攣発作の危険因子を評価したstudy
→8,929例中119例(1.3%)で早期痙攣発作が発現し、
そのうち111例でTXAが投与。
・TXA総投与量100mg/kg以上は早期痙攣発作のリスク(OR 2.6)。
SEP・MEPモニタリング併用の大血管手術