ICU勉強会 担当:皮膚科ゲストDr
「入院患者に生じた皮疹の観方」
・所見の記載のための用語集
・斑
→皮膚の色調変化を主体とする限局性病変で、
原則として立体的変化を伴わない
・紅斑
→硝子圧で退色する淡紅色〜紅色斑。
真皮乳頭層の血管拡張、充血による。
・浸潤性紅斑
→炎症細胞浸潤により、浸潤を触れる
(少し盛り上がってざらざらする)紅斑
・硬結性紅斑
→真皮〜皮下の強い炎症により、強い硬結を触れる紅斑。
結節性紅斑、丹毒、蜂窩織炎などを考える。
・紫斑
→硝子圧で退色しない鮮紅色〜紫色斑。真皮内出血による。
・浸潤を触れる紫斑(palpable purpura)
→強い炎症のため隆起してざらざらする。
血管炎の可能性を考える。
・丘疹
→径5〜10mm以下の隆起
・結節
→径5〜10mm以上の隆起
・腫瘤
→結節よりさらに大きいもの(3cm以上?)
・膨疹
→皮膚の限局性の浮腫。
境界明瞭で扁平に隆起。蕁麻疹と同義。
・水疱
→水疱内容液は常色(皮膚色)〜橙色で漿液性のもの。
・血疱
→水疱内容液が血液を含んで紫紅色のもの
・膿疱
→水疱内容液が膿性で黄白色クリーム状のもの
・びらん
→表皮の欠損。
・表皮剥離
→外傷により表皮が欠損したもの。
・潰瘍
→表皮〜真皮、あるいは皮下組織におよぶ欠損。
・急性に全身に紅斑が拡大する場合
・既存の皮膚疾患の悪化
→慢性湿疹、接触皮膚炎、尋常性乾癬などの急性増悪
・膨疹
→蕁麻疹
・target lesion
→中央が暗赤色〜紅褐色に陥凹し、
辺縁が環状に隆起し、標的状、虹彩状を呈するもの
→多形紅斑(多形滲出性紅斑)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、
中毒性表皮壊死症(TEN)
・水疱、びらん
→多形紅斑、SJS、TEN、
SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
・上記の特徴がなく診断困難な場合「中毒疹」と称することが多い。
・ウイルス性発疹症
→入院中に発症する可能性は低いか?
→麻疹、風疹、伝染性単核球症(EBウイルス、CMVなどの初感染)、
伝染性紅斑(パルボB19ウイルス)など
・薬疹
→播種状紅斑丘疹型薬疹、多形紅斑、SJS、TEN、
DIHS(薬剤過敏症症候群)など
・TSS(Toxic Shock Syndrome)
→黄色ブドウ球菌の外毒素による。
・猩紅熱
→溶連菌の外毒素による。通常は小児に生じる。
・上記以外の何らかの感染症に対する免疫応答?
・EM,SJS,TEN,DIHSの原因
・多形紅斑
→感染(特にHSV)、薬剤、悪性腫瘍、食物など、
何らかの抗原に対する免疫応答
・SJS
→薬剤のことが多い。
マイコプラズマなどの
・TEN
→薬剤によるものが大半。
→感染症によると推定される症例もあり。
・DIHS
→限られた薬剤+HHV6などの再活性化
・薬疹発症のタイミング
・即時型アレルギー(蕁麻疹、アナフィラキシー)
・内服開始1時間以内の発症でなければ薬疹をほぼ否定。
・現在内服中に感作が成立して抗体(抗原特異的IgE)
→内服継続中はすぐに抗原と結合して消費されてしまい、
症状誘発に必要な抗体量に到達しないため発症しない。
・遅発型アレルギー(播種状紅斑丘疹型薬疹、多形紅斑、SJS/TENなど)
・内服開始2〜3日後(day 3〜4)の発症であれば薬疹を否定。
・内服開始3〜4週以降の発症であれば薬疹の可能性はやや低くなる。
・過去の内服により感作成立
→再度内服直後-1時間以内に発症
・現在内服中に感作成立(5日〜2週間かかる。抗原特異的T細胞産生、活性化)
→内服開始5日〜2週間後(DIHSは2週〜6週後)に発症
・DIHS(薬剤過敏症症候群)の場合は内服2-6週後の発症が多い。
・DIHSを生じる薬剤は限られている。
・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド、
アロプリノール、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルホン、
メキシチール、ミノサイクリンなど
2014年7月17日木曜日
2014年7月14日月曜日
術中覚醒とBIS
麻酔科勉強会 担当:S先生
「術中覚醒とBIS」
・術中覚醒の定義
→experience and explicit recall of sensory perceptions
during surgery
・術中のことを明白に思い出せる
・頻度
・0.1-0.2%
・33%:痛みを覚えている
・50%:手術室の会話,音を思い出せる
・25%:挿管時に関連した記憶
・16%:PTSD発症
・術中覚醒の原因
・薬剤エラー
・麻酔技術
・機器の問題
・airway
・例えば・・・
・ディプリバンキット交換時に再開押し忘れ
・ルートのコネクタ外れていた
・セボフルラン補充してダイヤル回し忘れ
・TIVAで輸液ボトルが空
・ミズチバ
・ライン漏れ
・TCIポンプに体重誤入力
・三方活栓の向き間違い
・吸入麻酔薬が空
・・・
・術中覚醒のリスク因子
・心臓手術(最大1/100)
・女性
・若年
・外傷、緊急手術
・緊急全身麻酔の帝王切開(4/1000)
・TIVA
・小児( 0.6% )
・Briceの質問票
・BISモニターによる監視は?
・BIS:Biseptral Index
・測定した脳波をCovidienが
フーリエ変換を用いた謎のアルゴリズムで数値化
・進化するBIS
・BIS A-1050→BIS-XP→BIS-VISTA
・BISモニターのパラメーター
・SQI(Signal quality index)
→BIS値の信頼度、アーティファクト、筋電図などで低下
・SR(Suppresion ratio)
→1分間(63sec)に脳波がフラットになった時間の割合。
麻酔が深くなると増加
・EMG(Electromyograph)
→筋電図70-110Hzの波形の強さ(デシベル)を表示
・SEF(Spectral Edge Frequency 95)
→日本語訳するとスペクトルエッジ周波数。
全体のPower Spectrumのうちちょうど95%が
その周波数以下に存在するFrequencyの値。
一般に麻酔が深くなるとこの値は小さくなる。
・BISに影響を及ぼすもの
・EMG(特に前頭部の筋肉)
・Medical device
・ペースメーカー
・ウォーマー
・副鼻腔の手術の際に使う内視鏡やシェーバー
・電気メス・・・
→BISを上昇させる。
・脳波の異常値
・麻酔薬やその他薬など
・ケタミン→BIS値上昇
・ハロタン→BIS値上昇
・イソフルラン→transient paradoxical response?
・笑気
・エフェドリン→BIS値上昇?
・BISをつければ術中覚醒は防げるのか?
・B-Aware trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・Safe-2 trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・B-Unaware trial:有意差なし
・BAG-RECALL trial:BIS群でむしろ術中覚醒多い。
「術中覚醒とBIS」
・術中覚醒の定義
→experience and explicit recall of sensory perceptions
during surgery
・術中のことを明白に思い出せる
・頻度
・0.1-0.2%
・33%:痛みを覚えている
・50%:手術室の会話,音を思い出せる
・25%:挿管時に関連した記憶
・16%:PTSD発症
・術中覚醒の原因
・薬剤エラー
・麻酔技術
・機器の問題
・airway
・例えば・・・
・ディプリバンキット交換時に再開押し忘れ
・ルートのコネクタ外れていた
・セボフルラン補充してダイヤル回し忘れ
・TIVAで輸液ボトルが空
・ミズチバ
・ライン漏れ
・TCIポンプに体重誤入力
・三方活栓の向き間違い
・吸入麻酔薬が空
・・・
・術中覚醒のリスク因子
・心臓手術(最大1/100)
・女性
・若年
・外傷、緊急手術
・緊急全身麻酔の帝王切開(4/1000)
・TIVA
・小児( 0.6% )
・Briceの質問票
・BISモニターによる監視は?
・BIS:Biseptral Index
・測定した脳波をCovidienが
フーリエ変換を用いた謎のアルゴリズムで数値化
・進化するBIS
・BIS A-1050→BIS-XP→BIS-VISTA
・BISモニターのパラメーター
・SQI(Signal quality index)
→BIS値の信頼度、アーティファクト、筋電図などで低下
・SR(Suppresion ratio)
→1分間(63sec)に脳波がフラットになった時間の割合。
麻酔が深くなると増加
・EMG(Electromyograph)
→筋電図70-110Hzの波形の強さ(デシベル)を表示
・SEF(Spectral Edge Frequency 95)
→日本語訳するとスペクトルエッジ周波数。
全体のPower Spectrumのうちちょうど95%が
その周波数以下に存在するFrequencyの値。
一般に麻酔が深くなるとこの値は小さくなる。
・BISに影響を及ぼすもの
・EMG(特に前頭部の筋肉)
・Medical device
・ペースメーカー
・ウォーマー
・副鼻腔の手術の際に使う内視鏡やシェーバー
・電気メス・・・
→BISを上昇させる。
・脳波の異常値
・麻酔薬やその他薬など
・ケタミン→BIS値上昇
・ハロタン→BIS値上昇
・イソフルラン→transient paradoxical response?
・笑気
・エフェドリン→BIS値上昇?
・BISをつければ術中覚醒は防げるのか?
・B-Aware trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・Safe-2 trial:BIS群で術中覚醒少ない。
・B-Unaware trial:有意差なし
・BAG-RECALL trial:BIS群でむしろ術中覚醒多い。
2014年7月4日金曜日
術中低血圧
初期研修医勉強会 担当:Y先生
「術中低血圧」
・ショックの分類
・Hypovolemic shock
→脱水、出血、嘔吐、下痢、大量発汗など
・Cardiogenic shock
→不整脈(徐脈、頻脈)、心不全、麻酔薬など
・Obstructive shock
→肺塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデなど
・Distributive shock
→神経原性ショック(麻酔薬)、アナフィラキシー
敗血症性ショックなど
・術中の血圧低下の程度はどのくらい?
・全身麻酔を予定されている患者を対象としたstudy
・日中平均血圧、睡眠時血圧、術中血圧を測定、比較。
→麻酔時は睡眠時よりも血圧が低下する。
・術中低血圧について
・術中低血圧についてのガイドライン、Reviewは存在しない
・高齢者を対象にしたstudy
・術中のMAPを45-55mmHgに管理した群
vs 55-70mmHgに管理した群
・心血管イベントや死亡率に有意差はなかった
・ちなみに本では?
・術中血圧はMAP>80mmHgを目標に
(羊土社:麻酔科研修チェックノート)
・脳の自動調節能は70-150mmHg、腎臓では80-180mmHg
→これを目安に患者の状態に応じて適切な血圧管理が必要
(日本医事新報社:麻酔への知的アプローチ)
・術中低血圧でoutcomeが変わるのか?
・前向きコホート研究
・2時間以上の手術が予想される成人腹部外科手術100例
・術中低血圧の定義
・MAP<60mmHg
・MAP<70mmHgかつbaselineより30%減少
・術中低血圧時間10分を閾値に入院日数や合併症が増加するか比較
→術中低血圧は入院日数を伸ばす
・腎障害、心筋障害は増えるのか?
・非心臓手術を対象とした後ろ向きコホート研究
・n=33,330
・術中低血圧と術後AKI、心筋障害の関係を評価
→MAP<55mmHgが維持すると・・・
→AKI、心筋障害リスクが有意に上昇
・脳梗塞との関連は?
・大学病院での手術患者48,241人を対象
・後ろ向きコホート研究
・術後10日以内の脳梗塞発症についてオッズ比算出
→MAPがbaselineより30%低下するとCIリスク上昇
→絶対値よりも相対値が重要
・1年後死亡率は?
・大学病院での手術患者1,705人を対象
・術中低血圧の持続時間ごとに術後1年以内の全死亡率を比較
→因果関係は明らかでなかった。
→高齢患者では高い血圧閾値、短い低血圧持続時間推奨。
「術中低血圧」
・ショックの分類
・Hypovolemic shock
→脱水、出血、嘔吐、下痢、大量発汗など
・Cardiogenic shock
→不整脈(徐脈、頻脈)、心不全、麻酔薬など
・Obstructive shock
→肺塞栓症、緊張性気胸、心タンポナーデなど
・Distributive shock
→神経原性ショック(麻酔薬)、アナフィラキシー
敗血症性ショックなど
・術中の血圧低下の程度はどのくらい?
・全身麻酔を予定されている患者を対象としたstudy
・日中平均血圧、睡眠時血圧、術中血圧を測定、比較。
→麻酔時は睡眠時よりも血圧が低下する。
・術中低血圧について
・術中低血圧についてのガイドライン、Reviewは存在しない
・高齢者を対象にしたstudy
・術中のMAPを45-55mmHgに管理した群
vs 55-70mmHgに管理した群
・心血管イベントや死亡率に有意差はなかった
・ちなみに本では?
・術中血圧はMAP>80mmHgを目標に
(羊土社:麻酔科研修チェックノート)
・脳の自動調節能は70-150mmHg、腎臓では80-180mmHg
→これを目安に患者の状態に応じて適切な血圧管理が必要
(日本医事新報社:麻酔への知的アプローチ)
・術中低血圧でoutcomeが変わるのか?
・前向きコホート研究
・2時間以上の手術が予想される成人腹部外科手術100例
・術中低血圧の定義
・MAP<60mmHg
・MAP<70mmHgかつbaselineより30%減少
・術中低血圧時間10分を閾値に入院日数や合併症が増加するか比較
→術中低血圧は入院日数を伸ばす
・腎障害、心筋障害は増えるのか?
・非心臓手術を対象とした後ろ向きコホート研究
・n=33,330
・術中低血圧と術後AKI、心筋障害の関係を評価
→MAP<55mmHgが維持すると・・・
→AKI、心筋障害リスクが有意に上昇
・脳梗塞との関連は?
・大学病院での手術患者48,241人を対象
・後ろ向きコホート研究
・術後10日以内の脳梗塞発症についてオッズ比算出
→MAPがbaselineより30%低下するとCIリスク上昇
→絶対値よりも相対値が重要
・1年後死亡率は?
・大学病院での手術患者1,705人を対象
・術中低血圧の持続時間ごとに術後1年以内の全死亡率を比較
→因果関係は明らかでなかった。
→高齢患者では高い血圧閾値、短い低血圧持続時間推奨。
血糖コントロールまとめ
麻酔科勉強会 担当:H先生
「血糖コントロールまとめ」
・2013年のInternational Diabetes Federation(IDF)の発表
→世界で3億8,200百万人が糖尿病(有病率8.3%)
・日本は720万人が罹患
・ちなみに1位は中国の9,840万人
・糖尿病の人口の80%は低−中所得層の国の人々。
・40−59歳の年齢層で多い。
・糖尿病とは
・インスリンの作用不足による慢性高血糖が主徴
→種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群。
・発症には遺伝因子と環境因子が共に関与する。
・代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすい。
・無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す。
・ストレス性高血糖
・外傷、手術侵襲、sepsisなど
→神経系、内分泌系、免疫系ストレス反応
→異化の亢進
・タンパク分解促進
・グリコーゲン分解
・脂肪分解
・インスリン抵抗性の増大
→ストレス性高血糖
・後期糖化反応生成物(AGEs)
・高血糖状態が持続することで産生が促進され、蓄積される。
・産生過程や構造は分からないことが多い。
・細胞表面に発現しているRAGE(receptor for AGEs)が
急性炎症に関係している。
・RAGEノックアウトマウスでは敗血症モデルや
エンドトキシンショックモデルで生存率の改善が報告されている。
・高血糖の弊害
・浸透圧利尿
→脱水
・創傷部位の血流障害
・線維芽細胞の活動障害
・Vit.C吸収障害でコラーゲンの合成が阻害
→創傷治癒の遅延
・好中球の遊走能・貪食能・殺菌能の低下
→液性免疫の低下
・血管障害
・DIGAMI study
・AMI後にインスリンを使用して死亡率が変わるかを検討した
・620人の糖尿病合併のAMI患者が対象
・primary endpointは死亡率
→インスリン使用で有意に死亡率が低下
→急性期の血糖管理の重要性が広まった。
・Leuven study
・ICU入室の人工呼吸管理患者(外科系メイン)が対象
・強化インスリン療法群は死亡率が3.4%低かった。
・Leuven ll study
・今回は内科系メイン
・強化インスリン療法群は死亡率が2.8%低かった(有意差なし)。
・Leuven studyの問題点
・単一施設での研究
・Leuven I の対象患者の6割が開心術後
・Leuven IIでは有意差はなかった
・低血糖の発生率が高いなど
・強化インスリン療法の是非について
・NICE-SUGAR study
・BS値81-108mg/dlでコントロールする群(IIT)
vs 180mg/dlを保つ群(従来)で90日間の死亡率を調査
・ICU42施設 6022人 最も大規模なstudy
・死亡率 IIT27.5% 従来24.9% (P=0.02)
→有意にIIT群が死亡率が高い結果となった。
・小児を対象としたstudyでも
(N Engl J Med. 2014 Apr 10;370(15):1469.)
→Tight glicemic control群は低血糖発生率が高い。
・日本版敗血症診療ガイドラインでは・・・
→目標血糖値は144-180mg/dl
→強化インスリン療法は行わない。
→NICE-SUGAR trialに由来
「血糖コントロールまとめ」
・2013年のInternational Diabetes Federation(IDF)の発表
→世界で3億8,200百万人が糖尿病(有病率8.3%)
・日本は720万人が罹患
・ちなみに1位は中国の9,840万人
・糖尿病の人口の80%は低−中所得層の国の人々。
・40−59歳の年齢層で多い。
・糖尿病とは
・インスリンの作用不足による慢性高血糖が主徴
→種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群。
・発症には遺伝因子と環境因子が共に関与する。
・代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすい。
・無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す。
・ストレス性高血糖
・外傷、手術侵襲、sepsisなど
→神経系、内分泌系、免疫系ストレス反応
→異化の亢進
・タンパク分解促進
・グリコーゲン分解
・脂肪分解
・インスリン抵抗性の増大
→ストレス性高血糖
・後期糖化反応生成物(AGEs)
・高血糖状態が持続することで産生が促進され、蓄積される。
・産生過程や構造は分からないことが多い。
・細胞表面に発現しているRAGE(receptor for AGEs)が
急性炎症に関係している。
・RAGEノックアウトマウスでは敗血症モデルや
エンドトキシンショックモデルで生存率の改善が報告されている。
・高血糖の弊害
・浸透圧利尿
→脱水
・創傷部位の血流障害
・線維芽細胞の活動障害
・Vit.C吸収障害でコラーゲンの合成が阻害
→創傷治癒の遅延
・好中球の遊走能・貪食能・殺菌能の低下
→液性免疫の低下
・血管障害
・DIGAMI study
・AMI後にインスリンを使用して死亡率が変わるかを検討した
・620人の糖尿病合併のAMI患者が対象
・primary endpointは死亡率
→インスリン使用で有意に死亡率が低下
→急性期の血糖管理の重要性が広まった。
・Leuven study
・ICU入室の人工呼吸管理患者(外科系メイン)が対象
・強化インスリン療法群は死亡率が3.4%低かった。
・Leuven ll study
・今回は内科系メイン
・強化インスリン療法群は死亡率が2.8%低かった(有意差なし)。
・Leuven studyの問題点
・単一施設での研究
・Leuven I の対象患者の6割が開心術後
・Leuven IIでは有意差はなかった
・低血糖の発生率が高いなど
・強化インスリン療法の是非について
・NICE-SUGAR study
・BS値81-108mg/dlでコントロールする群(IIT)
vs 180mg/dlを保つ群(従来)で90日間の死亡率を調査
・ICU42施設 6022人 最も大規模なstudy
・死亡率 IIT27.5% 従来24.9% (P=0.02)
→有意にIIT群が死亡率が高い結果となった。
・小児を対象としたstudyでも
(N Engl J Med. 2014 Apr 10;370(15):1469.)
→Tight glicemic control群は低血糖発生率が高い。
・日本版敗血症診療ガイドラインでは・・・
→目標血糖値は144-180mg/dl
→強化インスリン療法は行わない。
→NICE-SUGAR trialに由来
喉頭蓋炎とPRISと気胸
ICU勉強会 担当:N先生
「喉頭蓋炎とPRISと気胸」
1.急性喉頭蓋炎での挿管の適応は?
・基本的には明確な基準はなくcontroversy
・小児→気道狭く早めに挿管すべき
・就学前の小児749人で気道確保をしなかった群
→挿管・気切した群より死亡率が高かった。
・成人→ICU等で経過観察が可能?
・重症呼吸困難がなく、気道が50%以上開通している場合
→経過観察が推奨
→79%で経過観察で治療成功が報告
・総合的な判断が必要となる
・4つのポイント
・時間経過:発症が急激(1日以内)
・症状:呼吸困難、stridor、流涎、チアノーゼ
・所見:ファイバーでの喉頭蓋の腫脹
・血液検査:WBC、CRPなどの炎症反応
・その他、起炎菌(Hib)、基礎疾患(糖尿病など)も
2.プロポフォールの副作用
・PRIS
・循環器:血圧低下(ICUの約25%)、徐脈、不整脈
・神経系:興奮作用→痙攣様、ミオクローヌスなど
・感染→6-12hr毎のルート交換(CDC guideline)
・アナフィラキシー
・高TG血症
・膵炎
・呼吸性アシドーシス
・PRIS(Propofol infusion syndrome)について
・長期間・高用量の投与で起こるまれな致死性合併症
→代謝性アシドーシス、脂質異常症、多臓器不全が進行
→徐脈性不整脈、心停止に至る
・乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が先行
・ミトコンドリア脂質代謝障害や遺伝子欠損症の関与
・PRIS発症の危険因子
・高用量>4㎎/kg/hr or 67μg/kg/min
・長期間>48hr
・乳幼児
・重症患者
・低タンパク・高脂質の摂取
・先天的なミトコンドリア脂質代謝異常
・カテコラミン・ステロイド投与
・PRISは成人でも発症する
【症例報告】
・43歳女性、血管奇形に対して開頭術後
・術直後に原因不明・重症の乳酸アシドーシス
・術中に7mg/kg/hr、ICUで3.5mg/kg/hr
・プロポフォールの投与を中止、アシドーシス補正で改善
3.気胸の画像診断
・Xp:背臥位での気胸の所見
・double diaphragm sign
・deep sulcus sign
・depression of diaphragm
・basilar hyperlucency
・medial stripe sign
・肺エコー
・正常所見
・Bat sign:上下の肋骨+胸膜
・A-line:胸膜より深部に並行
→胸膜下のAirを反映
・Mモード
・平行線→表面組織
・不均一→肺実質
・Seashore sign
→表面組織と肺実質の境界
・気胸所見
・Lung slidingが消失
・M modeでSeashoreが消失
「喉頭蓋炎とPRISと気胸」
1.急性喉頭蓋炎での挿管の適応は?
・基本的には明確な基準はなくcontroversy
・小児→気道狭く早めに挿管すべき
・就学前の小児749人で気道確保をしなかった群
→挿管・気切した群より死亡率が高かった。
・成人→ICU等で経過観察が可能?
・重症呼吸困難がなく、気道が50%以上開通している場合
→経過観察が推奨
→79%で経過観察で治療成功が報告
・総合的な判断が必要となる
・4つのポイント
・時間経過:発症が急激(1日以内)
・症状:呼吸困難、stridor、流涎、チアノーゼ
・所見:ファイバーでの喉頭蓋の腫脹
・血液検査:WBC、CRPなどの炎症反応
・その他、起炎菌(Hib)、基礎疾患(糖尿病など)も
2.プロポフォールの副作用
・PRIS
・循環器:血圧低下(ICUの約25%)、徐脈、不整脈
・神経系:興奮作用→痙攣様、ミオクローヌスなど
・感染→6-12hr毎のルート交換(CDC guideline)
・アナフィラキシー
・高TG血症
・膵炎
・呼吸性アシドーシス
・PRIS(Propofol infusion syndrome)について
・長期間・高用量の投与で起こるまれな致死性合併症
→代謝性アシドーシス、脂質異常症、多臓器不全が進行
→徐脈性不整脈、心停止に至る
・乳酸アシドーシスやBrugada型心電図変化が先行
・ミトコンドリア脂質代謝障害や遺伝子欠損症の関与
・PRIS発症の危険因子
・高用量>4㎎/kg/hr or 67μg/kg/min
・長期間>48hr
・乳幼児
・重症患者
・低タンパク・高脂質の摂取
・先天的なミトコンドリア脂質代謝異常
・カテコラミン・ステロイド投与
・PRISは成人でも発症する
【症例報告】
・43歳女性、血管奇形に対して開頭術後
・術直後に原因不明・重症の乳酸アシドーシス
・術中に7mg/kg/hr、ICUで3.5mg/kg/hr
・プロポフォールの投与を中止、アシドーシス補正で改善
3.気胸の画像診断
・Xp:背臥位での気胸の所見
・double diaphragm sign
・deep sulcus sign
・depression of diaphragm
・basilar hyperlucency
・medial stripe sign
・肺エコー
・正常所見
・Bat sign:上下の肋骨+胸膜
・A-line:胸膜より深部に並行
→胸膜下のAirを反映
・Mモード
・平行線→表面組織
・不均一→肺実質
・Seashore sign
→表面組織と肺実質の境界
・気胸所見
・Lung slidingが消失
・M modeでSeashoreが消失
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