「麻酔EBM勉強会」 担当:K先生
「周術期の血糖コントロール」
・高血糖と易感染性
・FBS>200㎎/dlを超える高血糖
→多角白血球の粘着能・走化能・殺菌能・貪食能の低下
・血糖コントロールについての時代の流れ
・重症患者に血糖管理を厳密に行うと予後が改善。
・DIGAMI study(1995年)
→以降血糖値は180~200㎎/dl程度に。
・Intensive Insulin Therapyの提唱
→LeuvenⅠ&Ⅱtrial
・BS>150mg/dl:死亡率上昇
・BS110~150㎎/dl:死亡率低下・低血糖発生率変化なし
・BS<110㎎/dl:死亡率低下・低血糖発生率上昇
・LeuvenⅠ&Ⅱtrialの問題点
①患者重症度が低い。
②ICU入室直後から800~1200kcalを経静脈的に糖負荷
③単施設研究
④LeuvenⅠは開心術が60%以上を占めていた。
・NICE-SUGAR study(NEJM 2009)
→IIT群では90日死亡率が有意に高い。
→重症低血糖の頻度14.7倍高い
・その後のメタアナライシスでも
→IITを行うことで低血糖の発生率は5.99倍高くなった。
・ICUでの血糖値の目標
・AHA/ACC:110-180
・ACE:140-180
・ADA:140-180
・米国胸部外科学会:180未満
・米国集中治療医学会:150未満
→米国集中治療医学会だけ基準が厳し目なのは?
・対象患者が1000人以下のRCTを6つ新たに加えたこと。
・心臓血管外科術後患者で血糖値を150未満でコントロール
→胸骨の感染が減少し、院内死亡率が低下した
・DM患者の血糖コントロールは?
・糖尿病患者
→非糖尿病患者と比べて高血糖に日々暴露
→急激な血糖低下は有害である可能性あり。
→血糖値の基準はより甘めでよいのかもしれない。
・NICE-Sugar studyの弱点は?
・簡易血糖測定器の使用
・多くの簡易血糖測定器はHt:40%であると仮定
・ICUでの輸血の閾値は7~8㎎/dl。
・血糖値が高めに出ている可能性
・低血糖を見逃している可能性
・BS<180㎎/dlではなくもっと低かった可能性あり
・血糖値のゆらぎ
・プロテインキナーゼC-β
・酸化ストレスの指標
・高血糖から正常血糖に低下するときに上昇する
・臍帯静脈細胞を用いたモデル
・高血糖から正常血糖に急速に低下するときに
細胞のアポトーシスが増加する
・血糖値の変動も患者予後に影響を与える可能性がある。
→持続的に血糖値を測定しより厳密に血糖をコントロールすれば
予後改善が期待できるかも?
・人工膵臓
・国内唯一の人工膵臓。
・一部の大学で臨床で使用されている。
・設定した血糖値を上回るとインスリンが、
下回るとグルコースが自動的に注入される。
超緊急帝王切開シミュレーション