2013年7月9日火曜日

周術期の血糖コントロール

「麻酔EBM勉強会」  担当:K先生

「周術期の血糖コントロール」

・高血糖と易感染性
  ・FBS>200㎎/dlを超える高血糖
   →多角白血球の粘着能・走化能・殺菌能・貪食能の低下
・血糖コントロールについての時代の流れ
   ・重症患者に血糖管理を厳密に行うと予後が改善。
     ・DIGAMI study(1995年)
       →以降血糖値は180~200㎎/dl程度に。
   ・Intensive Insulin Therapyの提唱
     →LeuvenⅠ&Ⅱtrial
        ・BS>150mg/dl:死亡率上昇
        ・BS110~150㎎/dl:死亡率低下・低血糖発生率変化なし
        ・BS<110㎎/dl:死亡率低下・低血糖発生率上昇
   ・LeuvenⅠ&Ⅱtrialの問題点
      ①患者重症度が低い。
      ②ICU入室直後から800~1200kcalを経静脈的に糖負荷
      ③単施設研究
      ④LeuvenⅠは開心術が60%以上を占めていた。
   ・NICE-SUGAR study(NEJM 2009)
     →IIT群では90日死亡率が有意に高い。
     →重症低血糖の頻度14.7倍高い
   ・その後のメタアナライシスでも
     →IITを行うことで低血糖の発生率は5.99倍高くなった。
・ICUでの血糖値の目標
  ・AHA/ACC:110-180
  ・ACE:140-180
  ・ADA:140-180
  ・米国胸部外科学会:180未満
  ・米国集中治療医学会:150未満
    →米国集中治療医学会だけ基準が厳し目なのは?
      ・対象患者が1000人以下のRCTを6つ新たに加えたこと。
      ・心臓血管外科術後患者で血糖値を150未満でコントロール
        →胸骨の感染が減少し、院内死亡率が低下した
・DM患者の血糖コントロールは?
  ・糖尿病患者
   →非糖尿病患者と比べて高血糖に日々暴露
   →急激な血糖低下は有害である可能性あり。
  →血糖値の基準はより甘めでよいのかもしれない。
・NICE-Sugar studyの弱点は?
  ・簡易血糖測定器の使用
    ・多くの簡易血糖測定器はHt:40%であると仮定
    ・ICUでの輸血の閾値は7~8㎎/dl。
    ・血糖値が高めに出ている可能性
       ・低血糖を見逃している可能性
       ・BS<180㎎/dlではなくもっと低かった可能性あり
・血糖値のゆらぎ
  ・プロテインキナーゼC-β
    ・酸化ストレスの指標
    ・高血糖から正常血糖に低下するときに上昇する
  ・臍帯静脈細胞を用いたモデル
    ・高血糖から正常血糖に急速に低下するときに
     細胞のアポトーシスが増加する
  ・血糖値の変動も患者予後に影響を与える可能性がある。
    →持続的に血糖値を測定しより厳密に血糖をコントロールすれば
     予後改善が期待できるかも?
・人工膵臓
  ・国内唯一の人工膵臓。
  ・一部の大学で臨床で使用されている。
  ・設定した血糖値を上回るとインスリンが、
   下回るとグルコースが自動的に注入される。



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