ICU勉強会 担当:O先生
「高乳酸血症の鑑別」
・乳酸とは
・ピルビン酸
=細胞質におけるブドウ糖解糖の最終産物
→LDHによる脱水素
→乳酸の産生。
・乳酸の多くは、肝臓に取り込まれ代謝される。
・バイオマーカーとしての乳酸
・ショック状態において重症化初期の乳酸値が4mmol/L以上
→72時間後の死亡率上昇に関連する。
・24時間以内に乳酸値が正常範囲内に戻れば死亡率は低下する。
・高乳酸血症(L-Lactate)の原因
・ピルビン酸の産生増加
・糖原病、褐色細胞腫、β刺激、敗血症(SIRS)
・ピルビン酸から乳酸への代謝シフト
・組織低酸素
・全身性痙攣、激しい運動、シバリング、重症喘息発作
ショック、心停止、重症低酸素血症
・ミトコンドリアでの代謝異常
・敗血症(SIRS)、チアミン欠乏、DKA、Rey's 症候群
・薬剤性
・抗ウイルス薬、メトホルミン、プロピレングリコール、
プロポフォールなど
・乳酸代謝障害
・低灌流、アルコール依存症、肝障害
・メカニズム不明
・特発性、悪性腫瘍、低血糖
・D-乳酸について
・乳酸にはL-乳酸とD-乳酸が存在。
→両者は光学異性体の関係にある。
・臨床の現場で遭遇する乳酸はL-乳酸
・D-乳酸は細菌により産生されることが多い。
・稀にD-乳酸がアシドーシスの原因となる。
・D-乳酸アシドーシスを考慮するのは?
①短腸症候群
・腸管での吸収不全が背景にある患者
・吸収されなかったグルコースが腸内細菌による分解。
→細菌から大量のD-乳酸が産生される。
→これらが大腸で吸収されることで生じる。
②プロピレングリコールの投与
・プロピレングリコール
→ロラゼパム、ジアゼパムの溶媒として使用される。
・プロピレングリコールの代謝産物の中にD-乳酸あり。
③ 糖尿病性ケトアシドーシス
・DKA患者
→アセトンやジヒドロキシアセトンが産生される。
→代謝産物であるmethylglyoxalからD-乳酸産生。
・D-乳酸アシドーシスの診断
・臨床症状+患者背景から疑う。
・何らかの意識障害や構音障害が最も頻度が多い症状。
・検査から迅速に診断することは困難
ロボット支援下前立腺手術にて