2016年11月21日月曜日

回収血輸血

麻酔科勉強会 担当:M先生

「回収血輸血」

・回収血の利点
  ・術中輸血量の減少
  ・輸血に伴う有害事象の回避
    ・GVHD、輸血に伴う免疫修飾反応の回避など
  ・同種輸血よりもコストが安い
    ・ちなみにRBC 2単位:16,333円。
  ・同種輸血よりも速やかに投与できる。
    ・交差試験を行う必要がない。
・回収血の適応は?
  →開心術、大血管手術並びにその他無菌手術。
  ・細菌あるいは悪性腫瘍細胞の混入がある場合は禁忌。
  ・出血量が600ml以上(小児では10ml/kg以上)で保険算定。
・ちなみにup to dateでは?
  ・出血1,000mlで適応。
  ・循環血液量20%以上の出血が予想される症例。
  ・術前Hbが低い症例。
  ・出血の危険性が高い症例。
  ・多くの不規則抗体を持つ症例。
  ・血液型がRh(-)の症例。
  ・感染、悪性腫瘍についてはCase by Case。
  ・妊婦は基本的に安全。
・感染について
  ・2015年のsystematic review
    ・外傷緊急手術において回収血vs回収血なし
    ・術後のsepsisの発生に有意差なし。
    ・Cost、死亡率はやや低下したが有意差なし。
     ・術後3時間の輸血量は減少。
  ・要因として・・・
    ・術前のSSI予防の抗生剤投与。
    ・回収血の処理において98%の細菌は除去される。
    ・IEに関しては調べきれず。
・悪性腫瘍について
  ・前立腺がん、肝細胞癌、子宮がん、消化器腫瘍を対象とした
   メタアナリシスでは再発率に差はなし。
  ・肝細胞癌、前立腺がんの一部では再発が早かったという報告も。
  ・血行性転移の早い腫瘍ではリスクがあるかも。
  ・白血球除去フィルターの使用により腫瘍を除去できる可能性。
・妊婦について
  ・羊水塞栓の可能性は??
    ・回収血を処理し洗浄する場合リスクは低い。
    ・羊水を吸引する場合は注意。
    ・ただし産科手術が禁忌というわけではない。
    ・癒着胎盤などの大量出血予想症例では使用を考慮。
    ・血液型の問題。
      →児Rh(+)、母Rh(-)の場合は感作される。
・回収血に伴う事象
  ・凝固因子の欠乏
    →凝固成分は除去されている。
  ・輸液過多、TACO。
  ・空気塞栓
  ・脂肪塞栓
    →40um以下の成分は濾過できない。
  ・鉄過剰
  ・電解質異常