麻酔科勉強会 担当:M先生
「回収血輸血」
・回収血の利点
・術中輸血量の減少
・輸血に伴う有害事象の回避
・GVHD、輸血に伴う免疫修飾反応の回避など
・同種輸血よりもコストが安い
・ちなみにRBC 2単位:16,333円。
・同種輸血よりも速やかに投与できる。
・交差試験を行う必要がない。
・回収血の適応は?
→開心術、大血管手術並びにその他無菌手術。
・細菌あるいは悪性腫瘍細胞の混入がある場合は禁忌。
・出血量が600ml以上(小児では10ml/kg以上)で保険算定。
・ちなみにup to dateでは?
・出血1,000mlで適応。
・循環血液量20%以上の出血が予想される症例。
・術前Hbが低い症例。
・出血の危険性が高い症例。
・多くの不規則抗体を持つ症例。
・血液型がRh(-)の症例。
・感染、悪性腫瘍についてはCase by Case。
・妊婦は基本的に安全。
・感染について
・2015年のsystematic review
・外傷緊急手術において回収血vs回収血なし
・術後のsepsisの発生に有意差なし。
・Cost、死亡率はやや低下したが有意差なし。
・術後3時間の輸血量は減少。
・要因として・・・
・術前のSSI予防の抗生剤投与。
・回収血の処理において98%の細菌は除去される。
・IEに関しては調べきれず。
・悪性腫瘍について
・前立腺がん、肝細胞癌、子宮がん、消化器腫瘍を対象とした
メタアナリシスでは再発率に差はなし。
・肝細胞癌、前立腺がんの一部では再発が早かったという報告も。
・血行性転移の早い腫瘍ではリスクがあるかも。
・白血球除去フィルターの使用により腫瘍を除去できる可能性。
・妊婦について
・羊水塞栓の可能性は??
・回収血を処理し洗浄する場合リスクは低い。
・羊水を吸引する場合は注意。
・ただし産科手術が禁忌というわけではない。
・癒着胎盤などの大量出血予想症例では使用を考慮。
・血液型の問題。
→児Rh(+)、母Rh(-)の場合は感作される。
・回収血に伴う事象
・凝固因子の欠乏
→凝固成分は除去されている。
・輸液過多、TACO。
・空気塞栓
・脂肪塞栓
→40um以下の成分は濾過できない。
・鉄過剰
・電解質異常