「術中よく使う抗生剤を知ろう」
・SSI(Surgical Site Infection)
・麻酔科医が術中にできるSSI対策
・適切な予防的抗菌薬投与
・術中血糖管理
・適切な組織酸素分圧の維持
・抗菌薬決定に関わる5項目
・背景、臓器、微生物、抗菌薬、投与期間
・細菌の分類を整理しておくと・・・
・グラム陽性球菌(GPC)
①黄色ブドウ球菌②腸球菌③その他
・グラム陰性桿菌(GNR)
①腸内細菌群②緑膿菌③その他
・嫌気性菌
・耐性菌
①MRSA②ESBL産生菌など
・第1世代:CEZ(セファゾリン)
・CEZの特徴
・黄色ブドウ球菌専用の抗菌薬!
・本当は連鎖球菌や肺炎球菌などのGPCを広くカバー
・実はGNRもカバー(大腸菌、クレブシエラなど)
・なぜCEZを黄ブ菌にのみ使うのか?
・海外には「ナフシリン」などの抗黄ブ菌ペニシリンが存在。
→日本にはありません・・・
・病原性の強い黄ブ菌を抑える次の候補がCEZ
→だから他には使いたくない!(=”温存”の思想)
・髄液移行性がないので注意!
→中枢神経感染症には使えない。
→髄膜炎の治療には第3世代以降を使う。
・第2世代:CTM(パンスポリン)
・CTMの特徴
・第1世代に加えてグラム陰性菌のカバーが広がる
・GNR:大腸菌、クレブシエラ、プロテウス
・GNC:インフルエンザ菌)、モラクセラ-カタラーリス
・GPCに対する抗菌活性は第1世代・CEZに劣る
・日本にしかない抗菌薬
→サンフォードではCefuroximeを参考に。
・単純性尿路感染症の初期治療で大活躍。
・第2世代:CMZ(セフメタゾール)
・CMZの特徴
・腹腔内嫌気性菌をカバーする
=腹腔内感染症に有用!―ぜひ”温存”を
・注意:腸球菌にはセフェム全世代とも無効!
・有名な副作用
①Wfとの併用でPT延長、②ジスルフィラム様作用
・日本にしかない抗菌薬
→サンフォードではCefotetanやCefoxitinを参考に。
・CMZの適応疾患
・腹腔内感染症全般
・急性胆管炎(ドレナージ併用必須)
・虫垂炎・憩室炎
・胆嚢炎(手術待機中)
・二次性腹膜炎(消化管穿孔)
・骨盤内炎症性疾患(PID)
Q.腹腔内感染症に腸球菌カバーはルーチンでいるか?
A. IDSAguidelineでは「不要」と記載している。
→CMZで十分!
・下部消化管手術の周術期予防的抗菌薬
・VCM(バンコマイシン)
・VCMの特徴
・全てのGPCに有効―ぜひ”温存”を!
・耐性GPCの第1選択薬・・・3つのtarget
①メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
②ABPC耐性の腸球菌
・主にEnterococcus faecium (腸球菌の約20%)
③ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)
・髄膜炎の場合のみ
・VCMの適応疾患
①MRSAを想定するとき
・GPC cluster菌血症の初期治療
・重症でMSSAかMRSAか分からないときの初期治療
・人工物感染の初期治療
・ちなみにブドウ球菌が好きなものは?
・皮膚→蜂窩織炎
・血流→カテーテル関連血流感染症(CRBSI)
感染性心内膜炎
・骨→椎体椎間板炎、関節炎
・膿瘍→硬膜外膿瘍
・人工物
→弁、関節、ペースメーカー、VPシャント
②腸球菌を想定するとき
・GPC chain菌血症の初期治療
・腸球菌菌血症の初期治療
→「腸球菌が血培から生える」=超重症のサイン
・尿路感染症
・胆道感染症
・感染性心内膜炎
・CRBSI・・