初期研修医勉強会 担当:I先生
「筋弛緩薬とリバース」
・中枢性筋弛緩薬
・GABAb受容体遮断
・末梢性筋弛緩薬
・脱分極性
・ACh受容体に結合
→イオンチャネルを開いて終板電位を発生させる
→脱分極を起こす
→長時間持続されるため終末周囲筋膜の閾値が上昇して
遮断が起こる。
・シナプス間隙にあるAChエステラーゼによる加水分解はされず、
拡散して血漿中コリンエステラーゼ分解される。
・副作用:洞性徐脈、心室性期外収縮、悪性高熱症、高K血症
→現在はあまり使われなくなった。
・非脱分極性
・ACh受容体に結合し、Achと競合的に働いてAchを遮断
→筋弛緩効果を発揮。受容体に結合はするが、
受容体を活性化させないためイオンチャネルは開かない。
・筋弛緩薬リバース
・ネオスチグミン
・コリンエステラーゼを一時的に不活化
→アセチルコリンの分解を抑制
→終板近辺にアセチルコリンが増加
→神経筋接合部の伝達が促進される。
・アセチルコリンは神経筋接合部のみならず、
ニコチン受容体やムスカリン受容体に結合。
→分泌の亢進、気管支収縮、徐脈などを起こす
→ムスカリン受容体拮抗薬であるアトロピンを併用。
・スガマデックス
・スガマデクスはロクロニウムと1:1の複合体を形成
→ロクロニウムがニコチン性Ach受容体に結合できなくする
→血液中の非結合ロクロニウム濃度が急激に減少
→濃度勾配に基づいて神経筋接合部や
末梢Compartmentからロクロニウムの急激な拡散が生じる。
→ロクロニウムが終板のニコチン性Ach受容体から解離し、
筋弛緩効果から迅速に回復する
・リバース使用法
・ネオスチグミン
・TOF 4以上を確認
・ネオスチグミン:アトロピン=2:1
・スガマデクス
・浅い筋弛緩状態(TOF T2確認)→2mg/kg
・深い筋弛緩状態(TOF 0, PTC 1-2回単収縮確認)→4mg/kg
・再筋弛緩
→拮抗後の筋弛緩作用の再出現。
麻酔終了後に筋弛緩効果が再出現すること。
・ネオスチグミンに影響を与える因子
・ネオスチグミンは腎排泄
→腎不全患者では半減期が約2倍に延長するため、
再筋弛緩の可能性は少ないと考えられる。
・呼吸性アシドーシス、代謝性アルカローシス存在下では、
ネオスチグミン濃度の神経筋接合部と血中との平衡状態が変化し、
ネオスチグミン作用が減弱すると考えられているが、詳細不明。
・重症筋無力症
→治療にコリンエステラーゼ阻害薬を使用。
→ネオスチグミンの投与で筋弛緩拮抗を行う場合は、
コリン作動性クリーゼの危険性あり。
→筋弛緩状態をモニタリングすべし。
・硫酸Mgの前投与はスガマデクスによるリバース時間に影響なし
・筋弛緩モニターなしでスガマデクス投与→PACUでのTOFR<0.9
→1.7%-9.4%(95%CI)
・スガマデクス投与でも筋弛緩が残存する可能性あり
→モニタリング
・スガマデクスに関する論文を2本読んできました。紹介。