麻酔科勉強会 担当:Y先生
「ANESTHESIOLOGY 2015@San Diego発表報告」
・ASA Annual Meating
・アメリカ麻酔学会の総会かつ最大の祭典。
・毎年10月末にアメリカの都市で開催。
→1846年10月16日に初のエーテル麻酔が行われたことを記念。
・参加者は麻酔科医だけでおよそ15,000人。
・最近は日本からの参加者もかなり増えている。
・非会員の参加費は高い!10万円超!
・Resident身分のうちに参加するのが絶対にお得!
→1-2万円程度で参加できる。
・筆頭演者には割引がある。
・演題登録まで
・演題登録はASAのWebsiteにて。
・発表は原則e-poster型式。
・だいたい毎年4月末あたりが締め切り。
・ASA非会員の場合は演題登録料として$25必要。
・ポスター登録にも別途$65必要。
・MCCSは比較的通りやすいらしい。
・サンディエゴへ
・関空からはロサンゼルスかサンフランシスコで乗り換えとなる。
・成田からは毎日JALの直行便が出ている。
・Registration
・ASAから来たバーコード付きメールを見せると、
ネームプレートとプログラムが貰える。
・MCCS
・困難症例報告セクション。プレゼン・掲示は10分間のみ。
・発表者はResidentクラスが多い。
・比較的通りやすい。
・大盛況。
・E-Poster Presentation
・ポスターは半日間掲示される。
・発表は入り口にあるさらに大きなメインモニター前で行う。
・特にジャンル分けはない。基礎から臨床までバラバラ。
・日本からの発表も目立ちました。
・全てのポスターはE-Poster On DemandというPCブースで閲覧可能。
・発表は無事終わりました。
・Refresher Course聞いてきました。
・妊婦の区域麻酔について
・合併症リスクは長期留置、複数回穿刺、ステロイド、DM、HIV感染
・硬膜外血腫の経皮的ドレナージの報告
・マスクを付けずに手技をしたら口腔内菌を起炎菌とする
髄膜炎をきたしたという報告
→背中の手技の際には必ずマスクを付けること!
・心臓手術での血液戦略
・血小板機能を測る機械がある。
・緊急気道管理について
・20度のヘッドアップでpreoxygenationを行うと
呼吸停止許容時間が長くなる。特に肥満患者には有効。
・酸素化が厳しい場合はNHFCを使用しながら挿管
(RCTも2つあるが結果が違う。。。)。
・SALADを使おう。
=Suction-Assisted-Laryngoscopy-Airway-Decontamination
→ビデオ型挿管デバイスに吸引をつけたもの。
・Out of ORでは挿管は最大最強の手段を最初から用いて
一撃で決めること。
・病的肥満妊婦の麻酔
・アメリカでは妊婦の50%が肥満、10%が病的肥満。
・そのせいか、先進国でアメリカだけでは
妊産婦の死亡症例が年々増えている。麻酔関連は0.3%。
・BMI 35以上の妊婦のうち19%しか自分は病的と認識していない。
・肥満妊婦の区域麻酔はsitting positionで!
Middle lineを同定するのが鍵。
→エコーは?施行時間はかかるが、成功率は上がる。
・肥満妊婦は動くと硬膜外カテーテルが移動する。抜けるかも。
・非観血的血圧測定値が信頼出来ないことが多い。
→動脈ラインも考慮。
・サンディエゴ観光も楽しんできました。
・来年はシカゴです。
2015年12月13日日曜日
筋弛緩とリバース
初期研修医勉強会 担当:I先生
「筋弛緩薬とリバース」
・中枢性筋弛緩薬
・GABAb受容体遮断
・末梢性筋弛緩薬
・脱分極性
・ACh受容体に結合
→イオンチャネルを開いて終板電位を発生させる
→脱分極を起こす
→長時間持続されるため終末周囲筋膜の閾値が上昇して
遮断が起こる。
・シナプス間隙にあるAChエステラーゼによる加水分解はされず、
拡散して血漿中コリンエステラーゼ分解される。
・副作用:洞性徐脈、心室性期外収縮、悪性高熱症、高K血症
→現在はあまり使われなくなった。
・非脱分極性
・ACh受容体に結合し、Achと競合的に働いてAchを遮断
→筋弛緩効果を発揮。受容体に結合はするが、
受容体を活性化させないためイオンチャネルは開かない。
・筋弛緩薬リバース
・ネオスチグミン
・コリンエステラーゼを一時的に不活化
→アセチルコリンの分解を抑制
→終板近辺にアセチルコリンが増加
→神経筋接合部の伝達が促進される。
・アセチルコリンは神経筋接合部のみならず、
ニコチン受容体やムスカリン受容体に結合。
→分泌の亢進、気管支収縮、徐脈などを起こす
→ムスカリン受容体拮抗薬であるアトロピンを併用。
・スガマデックス
・スガマデクスはロクロニウムと1:1の複合体を形成
→ロクロニウムがニコチン性Ach受容体に結合できなくする
→血液中の非結合ロクロニウム濃度が急激に減少
→濃度勾配に基づいて神経筋接合部や
末梢Compartmentからロクロニウムの急激な拡散が生じる。
→ロクロニウムが終板のニコチン性Ach受容体から解離し、
筋弛緩効果から迅速に回復する
・リバース使用法
・ネオスチグミン
・TOF 4以上を確認
・ネオスチグミン:アトロピン=2:1
・スガマデクス
・浅い筋弛緩状態(TOF T2確認)→2mg/kg
・深い筋弛緩状態(TOF 0, PTC 1-2回単収縮確認)→4mg/kg
・再筋弛緩
→拮抗後の筋弛緩作用の再出現。
麻酔終了後に筋弛緩効果が再出現すること。
・ネオスチグミンに影響を与える因子
・ネオスチグミンは腎排泄
→腎不全患者では半減期が約2倍に延長するため、
再筋弛緩の可能性は少ないと考えられる。
・呼吸性アシドーシス、代謝性アルカローシス存在下では、
ネオスチグミン濃度の神経筋接合部と血中との平衡状態が変化し、
ネオスチグミン作用が減弱すると考えられているが、詳細不明。
・重症筋無力症
→治療にコリンエステラーゼ阻害薬を使用。
→ネオスチグミンの投与で筋弛緩拮抗を行う場合は、
コリン作動性クリーゼの危険性あり。
→筋弛緩状態をモニタリングすべし。
・硫酸Mgの前投与はスガマデクスによるリバース時間に影響なし
・筋弛緩モニターなしでスガマデクス投与→PACUでのTOFR<0.9
→1.7%-9.4%(95%CI)
・スガマデクス投与でも筋弛緩が残存する可能性あり
→モニタリング
・スガマデクスに関する論文を2本読んできました。紹介。
「筋弛緩薬とリバース」
・中枢性筋弛緩薬
・GABAb受容体遮断
・末梢性筋弛緩薬
・脱分極性
・ACh受容体に結合
→イオンチャネルを開いて終板電位を発生させる
→脱分極を起こす
→長時間持続されるため終末周囲筋膜の閾値が上昇して
遮断が起こる。
・シナプス間隙にあるAChエステラーゼによる加水分解はされず、
拡散して血漿中コリンエステラーゼ分解される。
・副作用:洞性徐脈、心室性期外収縮、悪性高熱症、高K血症
→現在はあまり使われなくなった。
・非脱分極性
・ACh受容体に結合し、Achと競合的に働いてAchを遮断
→筋弛緩効果を発揮。受容体に結合はするが、
受容体を活性化させないためイオンチャネルは開かない。
・筋弛緩薬リバース
・ネオスチグミン
・コリンエステラーゼを一時的に不活化
→アセチルコリンの分解を抑制
→終板近辺にアセチルコリンが増加
→神経筋接合部の伝達が促進される。
・アセチルコリンは神経筋接合部のみならず、
ニコチン受容体やムスカリン受容体に結合。
→分泌の亢進、気管支収縮、徐脈などを起こす
→ムスカリン受容体拮抗薬であるアトロピンを併用。
・スガマデックス
・スガマデクスはロクロニウムと1:1の複合体を形成
→ロクロニウムがニコチン性Ach受容体に結合できなくする
→血液中の非結合ロクロニウム濃度が急激に減少
→濃度勾配に基づいて神経筋接合部や
末梢Compartmentからロクロニウムの急激な拡散が生じる。
→ロクロニウムが終板のニコチン性Ach受容体から解離し、
筋弛緩効果から迅速に回復する
・リバース使用法
・ネオスチグミン
・TOF 4以上を確認
・ネオスチグミン:アトロピン=2:1
・スガマデクス
・浅い筋弛緩状態(TOF T2確認)→2mg/kg
・深い筋弛緩状態(TOF 0, PTC 1-2回単収縮確認)→4mg/kg
・再筋弛緩
→拮抗後の筋弛緩作用の再出現。
麻酔終了後に筋弛緩効果が再出現すること。
・ネオスチグミンに影響を与える因子
・ネオスチグミンは腎排泄
→腎不全患者では半減期が約2倍に延長するため、
再筋弛緩の可能性は少ないと考えられる。
・呼吸性アシドーシス、代謝性アルカローシス存在下では、
ネオスチグミン濃度の神経筋接合部と血中との平衡状態が変化し、
ネオスチグミン作用が減弱すると考えられているが、詳細不明。
・重症筋無力症
→治療にコリンエステラーゼ阻害薬を使用。
→ネオスチグミンの投与で筋弛緩拮抗を行う場合は、
コリン作動性クリーゼの危険性あり。
→筋弛緩状態をモニタリングすべし。
・硫酸Mgの前投与はスガマデクスによるリバース時間に影響なし
・筋弛緩モニターなしでスガマデクス投与→PACUでのTOFR<0.9
→1.7%-9.4%(95%CI)
・スガマデクス投与でも筋弛緩が残存する可能性あり
→モニタリング
・スガマデクスに関する論文を2本読んできました。紹介。
2015年12月12日土曜日
挿管チューブのカフ
ICU勉強会 担当:T先生
「挿管チューブのカフについて」
・カフの役割
・挿入時の進入長の目安(カフが声門を1-2cm過ぎるまで)
・気道分泌物のシール
・誤嚥防止
・咽頭や消化管分泌物の流入を防ぐ
・陽圧換気の促進
・カフ圧は20-35mmHg(27-34cmH2O)に保つ
・Low pressure High volume cuff
・陽圧換気中は20-30cmH2Oに
→粘膜虚血を防ぐため。
・気道損傷は起こりうる。
・繊毛の剥奪
・気道狭窄
・気道破裂
・気管食道瘻
・VAPを防ぐために・・・
・カフ上吸引
・カフ圧(持続的に20cmH2O)
・カフの材料はポリ塩化ビニル&ウレタン
・カフ圧調整は?
・カフ圧系
・手動→リーク音聴取、パイロットバルン触診
→24%の麻酔科医しか適切な圧を予想できなかった。
・カフリークテスト
・感度0.56、特異度0.92という報告が
・抜管後トラブルは気道内腔の狭小化が影響
・抜管後気道浮腫のリスクファクター
・女性
・太いチューブ
・長期間の挿管
・高いカフ圧
・挿管困難症例
・その他使用上の注意
・パーカー気管チューブにリドカイン噴霧剤は使用しない。
・キシロカインポンプスプレー8%も噴霧しない。
→カフが破損するおそれがある。
→実験してみましたが破損しませんでした。
「挿管チューブのカフについて」
・カフの役割
・挿入時の進入長の目安(カフが声門を1-2cm過ぎるまで)
・気道分泌物のシール
・誤嚥防止
・咽頭や消化管分泌物の流入を防ぐ
・陽圧換気の促進
・カフ圧は20-35mmHg(27-34cmH2O)に保つ
・Low pressure High volume cuff
・陽圧換気中は20-30cmH2Oに
→粘膜虚血を防ぐため。
・気道損傷は起こりうる。
・繊毛の剥奪
・気道狭窄
・気道破裂
・気管食道瘻
・VAPを防ぐために・・・
・カフ上吸引
・カフ圧(持続的に20cmH2O)
・カフの材料はポリ塩化ビニル&ウレタン
・カフ圧調整は?
・カフ圧系
・手動→リーク音聴取、パイロットバルン触診
→24%の麻酔科医しか適切な圧を予想できなかった。
・カフリークテスト
・感度0.56、特異度0.92という報告が
・抜管後トラブルは気道内腔の狭小化が影響
・抜管後気道浮腫のリスクファクター
・女性
・太いチューブ
・長期間の挿管
・高いカフ圧
・挿管困難症例
・その他使用上の注意
・パーカー気管チューブにリドカイン噴霧剤は使用しない。
・キシロカインポンプスプレー8%も噴霧しない。
→カフが破損するおそれがある。
→実験してみましたが破損しませんでした。
周術期喫煙と禁煙
麻酔科勉強会 担当:T先生
「喫煙について」
・現在の日本の喫煙率
・男性30.3% 女性9.8%
・喫煙の利点
・ストレス解消
・痩せる
・暇つぶしになる
・タバコづくりに関する人々の雇用を支える
・喫煙の影響
・機能的影響・・・酸素運搬能など
・禁煙後すぐに回復
・器質的影響・・・絨毛障害、肺実質障害など
・禁煙しても回復まで時間がかかる
・手術における喫煙の影響
・循環機能への負荷増大
・酸素需要供給バランスの悪化
→低酸素血症への恐れ
・手術患者、術後30日後の合併症
喫煙者は非喫煙者に比べて
・肺炎2倍、再挿管1.9倍、人工呼吸遷延1.5倍、創部感染1.3倍、
心停止1.6倍、心筋梗塞1.8倍、脳卒中1.7倍、・・・
・ASA PSにおいてcurrent smokerはPS 2に分類される。
・術前、術後は可能なかぎりの禁煙が推奨される。
・禁煙による短期的影響
・組織への酸素供給量の低下
・不整脈
・ニコチンの作用
・気道分泌、血管収縮が主。
・毒性としては中枢神経症状、骨格筋麻痺、
神経終末の持続的脱分極など
・薬理作用
・血管抵抗上昇
・血圧上昇
・心拍数上昇
・侵襲反応上昇
・心仕事量上昇
・喫煙の肺への影響
・絨毛へのダメージ
・感染増加
・排痰困難
・肺胞隔壁の障害
・創部治癒遅延
・縫合不全
・表皮縫合部の離開
・周術期禁煙ガイドライン
→強い推奨
・安全な手術のために禁煙は必須の術前準備である。
・有効性が高いのはカウンセリングと禁煙補助薬。
・禁煙指導の専門家に紹介。
・長期禁煙は生命予後を改善する。
・介入を行ったほうが術後再喫煙率を下げる。
・ニコチン代替療法
・手術当日は中止
・禁煙できなくても減煙は進む
・当院の術前喫煙率は18%でした。
「喫煙について」
・現在の日本の喫煙率
・男性30.3% 女性9.8%
・喫煙の利点
・ストレス解消
・痩せる
・暇つぶしになる
・タバコづくりに関する人々の雇用を支える
・喫煙の影響
・機能的影響・・・酸素運搬能など
・禁煙後すぐに回復
・器質的影響・・・絨毛障害、肺実質障害など
・禁煙しても回復まで時間がかかる
・手術における喫煙の影響
・循環機能への負荷増大
・酸素需要供給バランスの悪化
→低酸素血症への恐れ
・手術患者、術後30日後の合併症
喫煙者は非喫煙者に比べて
・肺炎2倍、再挿管1.9倍、人工呼吸遷延1.5倍、創部感染1.3倍、
心停止1.6倍、心筋梗塞1.8倍、脳卒中1.7倍、・・・
・ASA PSにおいてcurrent smokerはPS 2に分類される。
・術前、術後は可能なかぎりの禁煙が推奨される。
・禁煙による短期的影響
・組織への酸素供給量の低下
・不整脈
・ニコチンの作用
・気道分泌、血管収縮が主。
・毒性としては中枢神経症状、骨格筋麻痺、
神経終末の持続的脱分極など
・薬理作用
・血管抵抗上昇
・血圧上昇
・心拍数上昇
・侵襲反応上昇
・心仕事量上昇
・喫煙の肺への影響
・絨毛へのダメージ
・感染増加
・排痰困難
・肺胞隔壁の障害
・創部治癒遅延
・縫合不全
・表皮縫合部の離開
・周術期禁煙ガイドライン
→強い推奨
・安全な手術のために禁煙は必須の術前準備である。
・有効性が高いのはカウンセリングと禁煙補助薬。
・禁煙指導の専門家に紹介。
・長期禁煙は生命予後を改善する。
・介入を行ったほうが術後再喫煙率を下げる。
・ニコチン代替療法
・手術当日は中止
・禁煙できなくても減煙は進む
・当院の術前喫煙率は18%でした。
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