初期研修医勉強会 担当:M先生
「AHA CPR GUIDELINES 2015」
・AHA CPR GUIDELINES 2010からの主な変更点
・EtCO2モニタリング下CPRによる予後予測
・CPR中バソプレシン単独投与をアルゴリズムから削除
・アドレナリン投与について
・入院患者心停止におけるステロイド、バソプレシン、
アドレナリン併用治療について
・ECPRの使用について
・CPRの質をモニタリングすること
・4つのモニタリング。
→EtCO2、冠動脈圧、動脈圧(拡張期、収縮期)、ScvO2
→CPR中の心拍出量と心筋血流量とが相関。
・これら数値上昇はROSCの良い指標になる。
・ROSCとETCO2の関連
・Retrospective case control study (チェコ)
・単施設で院外心停止症例108名を対象。
・ROSCとCO2上昇関連性を調べた。
→ROSC群ほうがCO2平均値が優位に高かった。
→ROSC前後でCO2値平均9.95mmHgの差があった。
・蘇生失敗を予測する。
→EtCO2が20分間の蘇生努力後に10mmHg以下である場合、
ROSC及び生存の可能性が極めて低かった。
→交絡因子が存在する可能性や, 症例数の少なさが問題。
・上記の内容を蘇生努力を中止する時期を決定する集学的アプローチの
一つとして考慮して良いが、単独で用いるべきではない。
・バソプレッシン
・生存入院率、自己心拍再開率、生存退院率、一年生存率、
退院時神経学的機能改善に関して有意差は認められなかった。
→アドレナリン単剤と比較しバソプレシンの有効性認められず。
→CPR中バソプレシン単独投与をアルゴリズムから削除。
・アドレナリンの投与について
・ショック可能リズム群
→アドレナリン投与しない群でROSC率、予後、
神経学的転帰が良い。
→アドレナリン投与群ではROSC率、予後は良いが、
神経学的転帰は変化なし。
・非ショック可能群
→アドレナリン投与群では病院前ROSC率が上昇、
20分以内の投与で1ヶ月生存率上昇、神経学的転帰は悪化。
→初期のショック非適応リズムによる心停止後、
できるだけ速やかにアドレナリンを投与することは妥当として良い。
・入院患者心停止における, ステロイド, バソプレシン, エピネフリン併用治療
・ステロイドはIHCA治療において、
バソプレシン及びアドレナリンとの併用である程度有用な可能性がある。
・フォローアップの研究結果が出るまではルーチンでの使用は
推奨されないが併用は妥当として良い。
・ECPR
→Extracorporeal CPR:PCPSを用いた心肺蘇生
→CCPR:Chest Compression Only CPR:胸骨圧迫のみの心肺蘇生
・AHA-G2010
→ECPRは血流停止時間の短い心停止患者でその原因が治癒可能な場合、
もしくは心臓移植や冠血行再建術により修復可能な場合に
考慮すべきである(クラスIIb)
→ERC-G2010では記載なし
・目撃ある院内心停止においてCCPR群よりECPR群のほうが神経学的転帰が良く
生存退院率が高い。蘇生後初期の死亡率も低下する。
・目撃ある院外心原性心停止に対するECPR群は
CCPR群より神経学的転帰が良い。
・初期波形VF/VTの院外心原性心停止患者ではCCPR群よりECPR群のほうが
1ヶ月後、6ヶ月後の神経学的転帰がよい。
・ECPRを使用すると従来のCPRで蘇生しない患者において、
治癒可能な病態を治療するための時間、
または心臓移植を手配するための時間稼ぎをできる可能性がある。
・ERCPを迅速に実施することで生存期間を延長できる。
・初回の従来のCPRに反応しなかった一部の心停止患者に対し、
環境設備が整っていればECPRを考慮しても良い。
・BLSの変更点については・・・
・救助者が傷病者のそばを離れずに救急対応システムに通報できるよう、
携帯電話の使用について明記。
・心停止リスクのある人々がいる地域ではPADプログラムを実行することが推奨。
・成人に対する推奨される胸骨圧迫のテンポ
→100回以上から100~120回へと更新。
・成人に対する推奨される胸骨圧迫の深さが5cm以上6cm以下と明記。
・バイスタンダーによるナロキソン投与を考慮しても良い。
→オピオイド関連の生命を脅かす緊急事態が疑われる場合。