9月6日(土)、大阪・国際交流センターにて
第60回日本麻酔科学回関西支部学術集会が開催されました。
当院からは主催の大阪医科大学に次ぐ10題の演題を提出、
若手の先生方に発表して頂きました。
2014年9月5日金曜日
化学療法と同種造血幹細胞移植の合併症
ICU勉強会 担当:免疫血液内科ゲストDr.
「化学療法と同種造幹細胞移植の合併症」
・抗癌剤
→アントラサイクリン系、代謝拮抗剤、プリンアナログ、
ピリミジンアナログ、ビンカアルカロイド、
トポイソメラーゼ阻害剤など
・抗癌剤の作用するメカニズムその1
・細胞周期:M期→G1→S期→G2
・細胞分裂の盛んな細胞を傷害する。
→粘膜障害、骨髄抑制、悪心、嘔吐、脱毛
・抗癌剤の作用するメカニズムその2
・モノクローナル抗体
・complement-mediated cytoxicity
・Antibody-dependent cell-mediated cytoxicity
・Activation of caspases and apotosis
・リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)
・基本的にはB細胞特異的な作用。
・その他、infusion reactionなど。
・低分子医薬品
・ボルテゾミブ:26Sプロテアソーム阻害剤
・がん細胞特異的ではない
・NFκB阻害→骨髄腫細胞のアポトーシス
・骨髄微小環境を修飾
・血管新生の抑制
・有害事象:
→体内の様々な細胞に作用
→機序が不明な有害事象もある
やjりう氏ボルテゾミブでは末梢神経障害が有名.
・抗癌剤の投与方法
・レジメン
→抗がん剤,放射線治療の定義された投与計画
・使用薬剤、放射線、照射量,投与スケジュール
・CHOPの場合
・1サイクル21日間=白血球の回復に要する時間
・FNが起こりうるのは11-15日目くらい
・骨髄抑制以外の有害事象
→1サイクルで完結するとは限らない。
・蓄積毒性でサイクル数が増えると重症化するものもある.
・別の薬剤を組み合わせた別々のサイクルを
一定の順序で行うレジメンもある.
・途中で効果判定を行い,その結果によって
レジメンが枝分かれすることもある.
・ただし造血幹細胞移植などは・・・
・ドナー検索の不確実性
・治療関連毒性のリスクの患者間差が大きい
→前向き臨床研究が存在しない。
→移植の判断は移植医の裁量に委ねられる。
・血液造血器腫瘍の分類
・AMlもリンパ腫もWHO分類が広く用いられている。
→非常に細かい分類。
・ICU入室するような患者については・・・
→合併症治療を考える上で細かい分類は重要ではない!
・合併症
・発熱性好中球減少症&その他感染症
・定義
・oral temperature 38℃以上(腋窩温 37.5℃以上)
・好中球 1,000/mcL未満
かつ48時間以内に500/mcL未満になると予測されるとき
or 好中球 500/mcL未満
・特徴
・発熱の原因が不明である時にも感染症として扱う.
・特定の感染源を示す所見に乏しい
→感染症スクリーニングとして,血培2セットは必須.
→Xpや尿検査は必要と判断される時.
・所見が無いことが多いが,呼吸器症状,全身の皮疹,
CVカテ留置部,口内炎や副鼻腔所見の有無,
呼吸器症状や消化器症状の有無,神経学的異常をチェック
・輸血について
・どのレベルで輸血を行うかは世界中の医師が苦渋している問題.
・日本国内では,「輸血療法の手引き(第3版)」
→systematic-review + GRADE方式のEBM ガイドラインではない.
・“Patient-blood management”(RBC)の考え方
・患者の病態評価+マネージメント
・輸血の適応判断,血液喪失の最小化,
患者の赤血球量の適正化(入れ過ぎも駄目)
・RBC輸血
・AABBガイドライン
・安定している患者に対して,Hb ≦ 7g/dLで輸血。
・術後の場合はHb≦8g/dL または症状がある時に輸血を考慮
・心疾患を有する入院患者に対して,Hb≦8g/dL
または症状がある時に輸血を考慮する。
・急性冠症候群で入院した患者
→推奨出来るHbレベルはない。
・ヘモグロビンレベルだけでなく症状も加味すべき
・CVカテ留置や骨髄生検にどの程度の血小板が必要かは定まっていない。
→術者にもよるが,通常は2万〜5万/mcLは欲しい。
・造血幹細胞移植早期の合併症
・化学療法・放射線療法による障害
・粘膜炎(口内炎,腸炎,肛門周囲炎など)
・嘔気,嘔吐
・出血性膀胱炎
・Idiopathic pulmonary syndrome (IPS)
・移植後の血管内皮の障害に伴う障害
・VOD/SOS
・血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy)
・Diffuse alveolar hemorrhage
・Capillary leak syndrome
・その他
・薬剤性障害(FK506、CyAなど)
・感染症
・免疫反応(GVHD、graft failure、HPS)など
・腸管GVHD
・大量の水様下痢便(3日間平均500ml以上)
・Intestinal failure
→タンパク質、カロリー、水分、電解質、微量元素の吸収不全
・治療の3大柱
・Slow intestinal transit
・Promote intestinal adaptation
・Reduce intestinal secretions
・支持療法
・腸管の通過時間を遅らせる
・腸管分泌の抑制
・飲むと分泌は増える→絶飲食!
・ORSは選択肢(低張液・糖分の多い飲み物は避ける)
・「ダイエット」飲料は避ける.
・PPI,オクトレオチド
・膵酵素が有効なことも
・腸管適応の促進
・経口摂取を進める
・食事:低脂肪,低線維,低乳糖,低酸,低刺激
・消化器症状を減らすように食事を選択する
・ENでは消化態、半消化態は避ける.
・晩期合併症
・白内障、角膜炎、結膜炎、骨壊死、甲状腺機能低下症・・・
・不妊や性腺機能障害も問題となる。
・二次癌を発症する可能性。
・造血器悪性腫瘍と集中治療
・ICUに入室する造血器悪性腫瘍
・非ホジキンリンパ腫>AML>MM>MDS=ALL>・・・
・ICU入室理由
・呼吸不全:62.5%
・ショック(敗血症):42.3%
・AKI:30.5%
・昏睡:22.3%
・化学療法のリスクが高い:7.1%
・ICU入室時の状況
・入院直後(入院からICUまで1〜16日)
・入院と同時
・好中球減少期
・血液内科医から2回以上のICU入室要請
「化学療法と同種造幹細胞移植の合併症」
・抗癌剤
→アントラサイクリン系、代謝拮抗剤、プリンアナログ、
ピリミジンアナログ、ビンカアルカロイド、
トポイソメラーゼ阻害剤など
・抗癌剤の作用するメカニズムその1
・細胞周期:M期→G1→S期→G2
・細胞分裂の盛んな細胞を傷害する。
→粘膜障害、骨髄抑制、悪心、嘔吐、脱毛
・抗癌剤の作用するメカニズムその2
・モノクローナル抗体
・complement-mediated cytoxicity
・Antibody-dependent cell-mediated cytoxicity
・Activation of caspases and apotosis
・リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)
・基本的にはB細胞特異的な作用。
・その他、infusion reactionなど。
・低分子医薬品
・ボルテゾミブ:26Sプロテアソーム阻害剤
・がん細胞特異的ではない
・NFκB阻害→骨髄腫細胞のアポトーシス
・骨髄微小環境を修飾
・血管新生の抑制
・有害事象:
→体内の様々な細胞に作用
→機序が不明な有害事象もある
やjりう氏ボルテゾミブでは末梢神経障害が有名.
・抗癌剤の投与方法
・レジメン
→抗がん剤,放射線治療の定義された投与計画
・使用薬剤、放射線、照射量,投与スケジュール
・CHOPの場合
・1サイクル21日間=白血球の回復に要する時間
・FNが起こりうるのは11-15日目くらい
・骨髄抑制以外の有害事象
→1サイクルで完結するとは限らない。
・蓄積毒性でサイクル数が増えると重症化するものもある.
・別の薬剤を組み合わせた別々のサイクルを
一定の順序で行うレジメンもある.
・途中で効果判定を行い,その結果によって
レジメンが枝分かれすることもある.
・ただし造血幹細胞移植などは・・・
・ドナー検索の不確実性
・治療関連毒性のリスクの患者間差が大きい
→前向き臨床研究が存在しない。
→移植の判断は移植医の裁量に委ねられる。
・血液造血器腫瘍の分類
・AMlもリンパ腫もWHO分類が広く用いられている。
→非常に細かい分類。
・ICU入室するような患者については・・・
→合併症治療を考える上で細かい分類は重要ではない!
・合併症
・発熱性好中球減少症&その他感染症
・定義
・oral temperature 38℃以上(腋窩温 37.5℃以上)
・好中球 1,000/mcL未満
かつ48時間以内に500/mcL未満になると予測されるとき
or 好中球 500/mcL未満
・特徴
・発熱の原因が不明である時にも感染症として扱う.
・特定の感染源を示す所見に乏しい
→感染症スクリーニングとして,血培2セットは必須.
→Xpや尿検査は必要と判断される時.
・所見が無いことが多いが,呼吸器症状,全身の皮疹,
CVカテ留置部,口内炎や副鼻腔所見の有無,
呼吸器症状や消化器症状の有無,神経学的異常をチェック
・輸血について
・どのレベルで輸血を行うかは世界中の医師が苦渋している問題.
・日本国内では,「輸血療法の手引き(第3版)」
→systematic-review + GRADE方式のEBM ガイドラインではない.
・“Patient-blood management”(RBC)の考え方
・患者の病態評価+マネージメント
・輸血の適応判断,血液喪失の最小化,
患者の赤血球量の適正化(入れ過ぎも駄目)
・RBC輸血
・AABBガイドライン
・安定している患者に対して,Hb ≦ 7g/dLで輸血。
・術後の場合はHb≦8g/dL または症状がある時に輸血を考慮
・心疾患を有する入院患者に対して,Hb≦8g/dL
または症状がある時に輸血を考慮する。
・急性冠症候群で入院した患者
→推奨出来るHbレベルはない。
・ヘモグロビンレベルだけでなく症状も加味すべき
・CVカテ留置や骨髄生検にどの程度の血小板が必要かは定まっていない。
→術者にもよるが,通常は2万〜5万/mcLは欲しい。
・造血幹細胞移植早期の合併症
・化学療法・放射線療法による障害
・粘膜炎(口内炎,腸炎,肛門周囲炎など)
・嘔気,嘔吐
・出血性膀胱炎
・Idiopathic pulmonary syndrome (IPS)
・移植後の血管内皮の障害に伴う障害
・VOD/SOS
・血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy)
・Diffuse alveolar hemorrhage
・Capillary leak syndrome
・その他
・薬剤性障害(FK506、CyAなど)
・感染症
・免疫反応(GVHD、graft failure、HPS)など
・腸管GVHD
・大量の水様下痢便(3日間平均500ml以上)
・Intestinal failure
→タンパク質、カロリー、水分、電解質、微量元素の吸収不全
・治療の3大柱
・Slow intestinal transit
・Promote intestinal adaptation
・Reduce intestinal secretions
・支持療法
・腸管の通過時間を遅らせる
・腸管分泌の抑制
・飲むと分泌は増える→絶飲食!
・ORSは選択肢(低張液・糖分の多い飲み物は避ける)
・「ダイエット」飲料は避ける.
・PPI,オクトレオチド
・膵酵素が有効なことも
・腸管適応の促進
・経口摂取を進める
・食事:低脂肪,低線維,低乳糖,低酸,低刺激
・消化器症状を減らすように食事を選択する
・ENでは消化態、半消化態は避ける.
・晩期合併症
・白内障、角膜炎、結膜炎、骨壊死、甲状腺機能低下症・・・
・不妊や性腺機能障害も問題となる。
・二次癌を発症する可能性。
・造血器悪性腫瘍と集中治療
・ICUに入室する造血器悪性腫瘍
・非ホジキンリンパ腫>AML>MM>MDS=ALL>・・・
・ICU入室理由
・呼吸不全:62.5%
・ショック(敗血症):42.3%
・AKI:30.5%
・昏睡:22.3%
・化学療法のリスクが高い:7.1%
・ICU入室時の状況
・入院直後(入院からICUまで1〜16日)
・入院と同時
・好中球減少期
・血液内科医から2回以上のICU入室要請
MICSと麻酔管理
「麻酔科EBM勉強会」 担当 M先生
「MICSと麻酔管理」
・MICS
→Minimally Invasive Cardiac Surgery
→Full Sternotomy を行わない、または人工心肺を用いない心臓手術。
・Off-pump coronary artery bypass(OPCAB)や、
胸骨部分切開や右開胸による弁膜症手術を含む。
・補助手段として胸腔鏡や手術ロボットが使用されることもある。
・MICSの利点
・在院日数が短い
・人工呼吸期間が短い
・呼吸器合併症が少ない
・胸骨の感染率が低い(特に再開胸)
・再手術の際により安全にアプローチできる
・術後痛が少ない
・回復が早い
・美容的に優れている
・MICSの欠点
・習熟に時間が掛かる
・心臓までの距離が遠く視野も限られている
→病変把握や予期せぬ合併症位の対処が難しい
・大動脈操作や人工心肺必要時の操作が特殊
・逆行性送血
→大腿動脈送血であるため脳血管合併症が
ハイリスク患者では約2倍
→その他末梢血管合併症も増える
→血栓塞栓症、仮性動脈瘤、動脈解離、
リンパ漏、鼠径部感染症など
・空気の除去が難しい
・苦手な主義がある
→3次元的な空間把握が必要な手術、手技など
・Ross手術、David/Bentall、stentless AVR、腱索再建など
→full-Maze、左心耳縫縮も難しいとのこと
・Aoクランプの難易度が高い
・Aoクランプ時間、CPB timeが長くなる傾向にある
・術前準備
・末梢の動脈や下行大動脈に病変がないか
・動脈サイズが小さすぎないか
→CTAを用いて評価を行うのが望ましい
・末梢静脈、中心静脈、動脈ラインの場所をあらかじめ術者と相談
→ラインによっては手術の妨げになる場合がある。
・麻酔方法
・OPCAB→局所麻酔(硬膜外麻酔)による管理でも可能
・人工心肺を用いる場合やTEEを用いる場合には全身麻酔となる
・体位は仰臥位で右上げ、右上肢は肩よりも下がる
→腕神経叢や頚部にストレスがかからないように注意が必要
・皮膚には体外から除細動できるようにパッドを装着する
・左片肺換気を行っている場合
適切に除細動ができない場合があるため一度分離換気をやめる
・da Vinciを使用している場合
→一度ロールアウトすることを忘れない
・右小開胸の場合(M弁、T弁、Maze、ASDなど)
→分離換気(OLV)が必要になる
・分離換気を行う場合DLT、気管支blockerどちらでも良い
→DLTは位置がずれにくい、非換気側のPEEPや吸引ができる
・DLTは手術終了時にノーマルチューブに入れ替えが必要
・TEEの役割
・弁の機能障害、重症度評価
・心臓の容量と機能
・各種カテーテルの位置確認
・介入前後の病変の評価
・心内空気の検出
→術野が狭く見えるものに限りがあるためTEEの重要性は増す!
・MICSの適応があるのかどうかを評価するのにも役立つ
→下行大動脈のアテローム性動脈硬化が強い
→MICSでは対応できないような他の病変が見つかる
→MICS自体をやめることが必要になることも…
・カニュレーション
・脱血管の挿入
・術式に応じる。
・内頚静脈から上大静脈に脱血管を挿入したり、
endopulmonary vent catheterの追加を行う。
・大動脈クロスクランプ
・Transthoracic aortic clamping
→大動脈を外側から直接クランプする方法
・Endoaortic balloon occlusion
→上行大動脈内でバルーンを膨らませてクランプ
→右腋窩動脈または、大腿動脈の送血管と同じ部位から進め、
上行大動脈内でバルーンを膨らませる
→位置調整が難しい、コストがかかるというデメリットがある
・TAC vs EOBC
・TACはre-do症例では難しい。
・合併症の発生頻度に有意差はないとの報告も。
・TACのほうが手術時間が短く、出血量も少なく、
術後CK-MBの値も有意に低かったという報告もある。
・心筋保護
・順行性心筋保護
大動脈root canulation
Endoaortic balloon occlusion
・逆行性心筋保護
冠静脈洞canulation
EndoPledge
→冠静脈洞に直接カニュレーションするのは難しい
→経静脈的にCSにカニュレーションする。
・Endopledgeのデメリット
・合併症にCS、RA、RVの穿孔が報告されている
・位置がずれやすい
・時間がかかる
・術者が必要としない(順行性で充分)
→あまり普及していない
・左室肥大が著しい、CABGの既往がある、
ARがあるといった症例では使ってもいいかも。
・人工心肺離脱後
・通常の管理と大きな違いはない
・クロスクランプ時間、心肺時間は長くなる
・ペーシングリード付きPAカテーテルを使用する場合
→再灌流後リードを適切な位置に再調整する必要がある
・右室など術者から見えない部位が増える
→TEEや各種パラメータのモニタリングの重要性が増す
・空気塞栓に注意
・片肺換気している場合は可能なら両肺換気で呼吸再開する
・術後鎮痛
・オピオイド静注が古くから行われている
・肋間神経に局所麻酔薬を投与するのも有効
・その他Paravertebral blockも有効と言われている
・従来の方法より痛みは少ない。
・予後について
・ICU滞在日数はMini-sternotomy群で有意に短かった
・在院日数、出血量、人工呼吸期間は有意差なし
・より大規模のStudyが望まれる
「MICSと麻酔管理」
・MICS
→Minimally Invasive Cardiac Surgery
→Full Sternotomy を行わない、または人工心肺を用いない心臓手術。
・Off-pump coronary artery bypass(OPCAB)や、
胸骨部分切開や右開胸による弁膜症手術を含む。
・補助手段として胸腔鏡や手術ロボットが使用されることもある。
・MICSの利点
・在院日数が短い
・人工呼吸期間が短い
・呼吸器合併症が少ない
・胸骨の感染率が低い(特に再開胸)
・再手術の際により安全にアプローチできる
・術後痛が少ない
・回復が早い
・美容的に優れている
・MICSの欠点
・習熟に時間が掛かる
・心臓までの距離が遠く視野も限られている
→病変把握や予期せぬ合併症位の対処が難しい
・大動脈操作や人工心肺必要時の操作が特殊
・逆行性送血
→大腿動脈送血であるため脳血管合併症が
ハイリスク患者では約2倍
→その他末梢血管合併症も増える
→血栓塞栓症、仮性動脈瘤、動脈解離、
リンパ漏、鼠径部感染症など
・空気の除去が難しい
・苦手な主義がある
→3次元的な空間把握が必要な手術、手技など
・Ross手術、David/Bentall、stentless AVR、腱索再建など
→full-Maze、左心耳縫縮も難しいとのこと
・Aoクランプの難易度が高い
・Aoクランプ時間、CPB timeが長くなる傾向にある
・術前準備
・末梢の動脈や下行大動脈に病変がないか
・動脈サイズが小さすぎないか
→CTAを用いて評価を行うのが望ましい
・末梢静脈、中心静脈、動脈ラインの場所をあらかじめ術者と相談
→ラインによっては手術の妨げになる場合がある。
・麻酔方法
・OPCAB→局所麻酔(硬膜外麻酔)による管理でも可能
・人工心肺を用いる場合やTEEを用いる場合には全身麻酔となる
・体位は仰臥位で右上げ、右上肢は肩よりも下がる
→腕神経叢や頚部にストレスがかからないように注意が必要
・皮膚には体外から除細動できるようにパッドを装着する
・左片肺換気を行っている場合
適切に除細動ができない場合があるため一度分離換気をやめる
・da Vinciを使用している場合
→一度ロールアウトすることを忘れない
・右小開胸の場合(M弁、T弁、Maze、ASDなど)
→分離換気(OLV)が必要になる
・分離換気を行う場合DLT、気管支blockerどちらでも良い
→DLTは位置がずれにくい、非換気側のPEEPや吸引ができる
・DLTは手術終了時にノーマルチューブに入れ替えが必要
・TEEの役割
・弁の機能障害、重症度評価
・心臓の容量と機能
・各種カテーテルの位置確認
・介入前後の病変の評価
・心内空気の検出
→術野が狭く見えるものに限りがあるためTEEの重要性は増す!
・MICSの適応があるのかどうかを評価するのにも役立つ
→下行大動脈のアテローム性動脈硬化が強い
→MICSでは対応できないような他の病変が見つかる
→MICS自体をやめることが必要になることも…
・カニュレーション
・脱血管の挿入
・術式に応じる。
・内頚静脈から上大静脈に脱血管を挿入したり、
endopulmonary vent catheterの追加を行う。
・大動脈クロスクランプ
・Transthoracic aortic clamping
→大動脈を外側から直接クランプする方法
・Endoaortic balloon occlusion
→上行大動脈内でバルーンを膨らませてクランプ
→右腋窩動脈または、大腿動脈の送血管と同じ部位から進め、
上行大動脈内でバルーンを膨らませる
→位置調整が難しい、コストがかかるというデメリットがある
・TAC vs EOBC
・TACはre-do症例では難しい。
・合併症の発生頻度に有意差はないとの報告も。
・TACのほうが手術時間が短く、出血量も少なく、
術後CK-MBの値も有意に低かったという報告もある。
・心筋保護
・順行性心筋保護
大動脈root canulation
Endoaortic balloon occlusion
・逆行性心筋保護
冠静脈洞canulation
EndoPledge
→冠静脈洞に直接カニュレーションするのは難しい
→経静脈的にCSにカニュレーションする。
・Endopledgeのデメリット
・合併症にCS、RA、RVの穿孔が報告されている
・位置がずれやすい
・時間がかかる
・術者が必要としない(順行性で充分)
→あまり普及していない
・左室肥大が著しい、CABGの既往がある、
ARがあるといった症例では使ってもいいかも。
・人工心肺離脱後
・通常の管理と大きな違いはない
・クロスクランプ時間、心肺時間は長くなる
・ペーシングリード付きPAカテーテルを使用する場合
→再灌流後リードを適切な位置に再調整する必要がある
・右室など術者から見えない部位が増える
→TEEや各種パラメータのモニタリングの重要性が増す
・空気塞栓に注意
・片肺換気している場合は可能なら両肺換気で呼吸再開する
・術後鎮痛
・オピオイド静注が古くから行われている
・肋間神経に局所麻酔薬を投与するのも有効
・その他Paravertebral blockも有効と言われている
・従来の方法より痛みは少ない。
・予後について
・ICU滞在日数はMini-sternotomy群で有意に短かった
・在院日数、出血量、人工呼吸期間は有意差なし
・より大規模のStudyが望まれる
ハーブ療法と麻酔
「麻酔科勉強会」 担当:H先生
「ハーブ療法と麻酔」
・症例提示
・硬膜外麻酔による無痛分娩
→分娩後にカテーテル抜去
→帰宅後に背部正中の疼痛および頭痛増悪
→MRIにて脊髄硬膜外血腫
・陣痛発来時にArnica Montanaを内服していた。
・Arnica Montana
・高度2,000mまでの牧草地に自生する
・黄色い綺麗な花を咲かせるキク科の多年草
・西洋ハーブとしてアルニカの頭花や根を利用
・消炎作用、解熱・鎮痛作用、創傷治癒作用
・成分にクマリン誘導体があり抗凝固作用あり
・術前評価
・70%以上の患者はハーブ使用について自発的に言及しない
→closed questionが必要
・5人に1人は調剤を把握していない
→持参してもらう必要がある
・使用するにあたっての誘因となった症状を聴取
・ハーブの実態
・術前患者の22-32%が使用
・米国人1990年:33.8%→1997年:42.1%
・40-60歳代 女性の使用が多い傾向がある
・薬理学的活性をもつ
・直接作用(固有の薬理学的効果)
・薬力学的相互作用
・薬物動態学的相互作用(吸収、代謝、排泄の変化)
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・数種類併用しているケースが多い
→副作用の予測や原因究明が難しい
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・表示が不正確
→薬効のばらつきがある
・ハーブいろいろ
・エキナセア
・ムラサキバレンギクの根
・免疫修飾作用をもつ
・上気道のウイルス、細菌、真菌感染症予防と治療に使用
・化学療法、放射線療法後の免疫賦活薬
・癌治療中の補助薬
・In vitroで免疫細胞活性化、サイトカイン産生亢進
・In vivoで人のNK細胞活性化
・免疫抑制薬の効果減弱の可能性
・移植患者へ投与さける
・8週間以上の長期服用で免疫抑制の可能性あり
・ニンニク
・抗血小板作用があるといわれる
・アリシンとその転換物質
→不可逆的、用量依存的に血小板凝集を抑制
→作用機序不明
・高血圧への有効性が示唆される
・糖尿病や家族性高コレステロール血症、乳がんなどに対しては
効果がないことが示唆されている
・胃腸障害などの悪影響も報告されている
・ワルファリンやアスピリンなどの作用を強める可能性がある
・38のRCTのメタ解析でLDLの低下、HDLの上昇がみられた
・術前は少なくとも1週間前には中止すべき
・イチョウ葉
・In vitroでは抗血小板作用があるとされる。
→抗凝固薬、抗血小板薬投与中の患者への使用は慎重に
・手術の際は少なくとも2週間前から使用を中止
・高麗人蔘
・降圧薬で治療中の高血圧患者64名
→高麗人参投与群30名、プラセボ34人を対象としたRCT
→血圧やbaPWVに有意な差は認められなかった
・メタ解析
→空腹時血糖値や、インスリン濃度に有意差なし
・セント・ジョーンズワート
・軽度~中程度の抑うつの患者375人でのRCT
→6週間の経過の中でWS群はプラセボ群に比して有意に改善
・更年期症状を有する女性100人を対象にプラセボ群と比較
→両者に優位な差はなかった。
・日光過敏、不眠、胃腸不快感、口渇、めまい、頭痛、
錯覚などの副作用
・麻酔終了時の覚醒遅延の恐れがあり、術前は中止。
・CYP3A4 CYP1A2が誘導される。
→ワーファリン、ジゴキシン、インジナビル(抗HIV薬)、
シクロスポリン、テオフィリン、経口避妊薬
→効果減弱の可能性がある
・術前評価
・ハーブは術前には中止
・薬物動態学的データがある場合は術前の中止時期を検討する
・データが無い場合は基本的に2週間前に中止
・ただしバレリアンのように急性離脱症状がある可能性がある
「ハーブ療法と麻酔」
・症例提示
・硬膜外麻酔による無痛分娩
→分娩後にカテーテル抜去
→帰宅後に背部正中の疼痛および頭痛増悪
→MRIにて脊髄硬膜外血腫
・陣痛発来時にArnica Montanaを内服していた。
・Arnica Montana
・高度2,000mまでの牧草地に自生する
・黄色い綺麗な花を咲かせるキク科の多年草
・西洋ハーブとしてアルニカの頭花や根を利用
・消炎作用、解熱・鎮痛作用、創傷治癒作用
・成分にクマリン誘導体があり抗凝固作用あり
・術前評価
・70%以上の患者はハーブ使用について自発的に言及しない
→closed questionが必要
・5人に1人は調剤を把握していない
→持参してもらう必要がある
・使用するにあたっての誘因となった症状を聴取
・ハーブの実態
・術前患者の22-32%が使用
・米国人1990年:33.8%→1997年:42.1%
・40-60歳代 女性の使用が多い傾向がある
・薬理学的活性をもつ
・直接作用(固有の薬理学的効果)
・薬力学的相互作用
・薬物動態学的相互作用(吸収、代謝、排泄の変化)
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・数種類併用しているケースが多い
→副作用の予測や原因究明が難しい
・栄養補助食品である
→臨床前動物実験や治験を必要としない
・表示が不正確
→薬効のばらつきがある
・ハーブいろいろ
・エキナセア
・ムラサキバレンギクの根
・免疫修飾作用をもつ
・上気道のウイルス、細菌、真菌感染症予防と治療に使用
・化学療法、放射線療法後の免疫賦活薬
・癌治療中の補助薬
・In vitroで免疫細胞活性化、サイトカイン産生亢進
・In vivoで人のNK細胞活性化
・免疫抑制薬の効果減弱の可能性
・移植患者へ投与さける
・8週間以上の長期服用で免疫抑制の可能性あり
・ニンニク
・抗血小板作用があるといわれる
・アリシンとその転換物質
→不可逆的、用量依存的に血小板凝集を抑制
→作用機序不明
・高血圧への有効性が示唆される
・糖尿病や家族性高コレステロール血症、乳がんなどに対しては
効果がないことが示唆されている
・胃腸障害などの悪影響も報告されている
・ワルファリンやアスピリンなどの作用を強める可能性がある
・38のRCTのメタ解析でLDLの低下、HDLの上昇がみられた
・術前は少なくとも1週間前には中止すべき
・イチョウ葉
・In vitroでは抗血小板作用があるとされる。
→抗凝固薬、抗血小板薬投与中の患者への使用は慎重に
・手術の際は少なくとも2週間前から使用を中止
・高麗人蔘
・降圧薬で治療中の高血圧患者64名
→高麗人参投与群30名、プラセボ34人を対象としたRCT
→血圧やbaPWVに有意な差は認められなかった
・メタ解析
→空腹時血糖値や、インスリン濃度に有意差なし
・セント・ジョーンズワート
・軽度~中程度の抑うつの患者375人でのRCT
→6週間の経過の中でWS群はプラセボ群に比して有意に改善
・更年期症状を有する女性100人を対象にプラセボ群と比較
→両者に優位な差はなかった。
・日光過敏、不眠、胃腸不快感、口渇、めまい、頭痛、
錯覚などの副作用
・麻酔終了時の覚醒遅延の恐れがあり、術前は中止。
・CYP3A4 CYP1A2が誘導される。
→ワーファリン、ジゴキシン、インジナビル(抗HIV薬)、
シクロスポリン、テオフィリン、経口避妊薬
→効果減弱の可能性がある
・術前評価
・ハーブは術前には中止
・薬物動態学的データがある場合は術前の中止時期を検討する
・データが無い場合は基本的に2週間前に中止
・ただしバレリアンのように急性離脱症状がある可能性がある
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