ICU勉強会 担当:Y先生
「低リン血症」
・Pは体内に600g存在する。
・85%→ハイドロキシアパタイトとして骨に蓄積
・14-15%→ATPなど代謝産物の構成要素として主に細胞内に。
・1%未満→細胞外液に存在。500mg程度。
→細胞外から細胞内へのシフトにより容易に血清P↓
・血清P(「無機リン」という項目になっていることが多い)
・正常値2.5-4.5mg/dl
・1.0mg/dl未満を高度低P血症とする。
・生体内でのPの役割
・ATPの産生
→ADP+P=ATP
・2,3-DGPの産生
・解糖系の側副路:Rapoport-Luebering Pathway
・2,3-DGP復習
・赤血球におけるATP産生エネルギー
・HbとO2の親和性調節
・2,3-DPG増加
→Hb酸素解離曲線の右方移動
・2,3-DPG低下
→Hb酸素解離曲線の左方移動
→赤血球からの酸素放出低下
→組織低酸素血症
・低リン血症の鑑別
・消化管からの吸収減少
・消化管・腎からの排泄増加
・細胞内への移動
・消化管からの吸収
・1日のP摂取量は800-2,000mg。
・タンパク質、乳製品、肉類に多く含まれる。
→牛乳1Lに1,000mgのP含む。
・消化管吸収量=腎排泄量
・腸管からの吸収
・濃度勾配に従った吸収(受動輸送)
・Na/P共輸送体による能動的吸収
↑Vit.Dにより亢進する。
・腎での排泄と再吸収
・NTP2について
・再吸収促進→P↑
・低P食
・成長ホルモン
・甲状腺ホルモン
・再吸収阻害→P↓
・高P食
・PTH
・Vit.D
・Steroid
・利尿薬
・細胞外液量増加
・細胞内への移動
・インスリン
・glucose+Pで細胞内取り込み。
・アルコール依存症、低栄養Pt.では低Pに注意。
・呼吸性アルカローシス
・phosphofructokinase 活性化→細胞内解糖促進
→ブドウ糖リン酸化促進→細胞内P低下
→細胞外からPの移動
・カテコラミン
・DOA, DOB, 吸入薬(procaterolなど)
・白血病、悪性リンパ腫、sepsis(主にGNR感染)
・臨床症状
・高度急性低P血症(P<1.5 mg/dl)
→2,3DPG低下、細胞内ATPレベル低下
→組織低酸素血症
・筋力低下が全面に出ることが多い。
・横隔膜運動低下→呼吸不全、weaning困難
・心収縮力低下→血圧低下、心室性不整脈、
・末梢・中枢神経症状
・脳症→convulsion, epilepsy, comaなども。
・開心術後の低Pに関する論文
・術後低P群(<1.5 mg/dl)はcontrol群と比較して、
・血液製剤の使用
・ICU入室時2種類以上の循環作動薬使用
・術後人工呼吸期間
・術後循環作動薬使用期間
・in-hospital stay
が有意に長かった。
・心臓手術術後、Pはルーチンに計測し低Pはすぐに補正すべき。
・開心術後の低Pに関する症例報告
・P補正でカテコラミンウィーニングが進んだ。
・その他
・心臓血管手術後の低Pは術後2日目に多い。
→否定的な報告も
→refillを見ている?
・肝臓切除後の低P。
・肝増殖によるPの消費?
・むしろ腎からのP排泄(FEP増加)によるものが多い。
・頭部外傷後の低体温療法(32-33℃)
→reversibleな低P血症をきたす。
・低Pは耐糖能異常、インスリン感受性の低下をもたらす。