ICU勉強会 担当:Y先生
「空気塞栓症」
・Air embolism発症に必要な2つの因子
・血管と空気の接触箇所
・空気源から血管内へのpressure gradient
・Air embolismが起こりうる主なsetting
・Surgery and Trauma
・血管内留置カテーテル
・barotrauma
・手術因子
・脳神経外科手術、頭頸部外科手術
→CVP陰圧でair引き込み
・YAGレーザー使用気管支手術
→coolant gas引き込み
・その他いろいろ。
→肺生検、肺切除、腹腔鏡手術、
帝王切開、CPB、静脈手術、・・・
・外傷
・Arterial air embolismも起こりうる。
→頭頸部外傷、穿通性胸部外傷、鈍的腹部外傷など
・穿通性胸部外傷で左心系airを認めたcasesでは死亡率66%と。
・カテーテル挿入時の空気塞栓リスク
・connection部分の外れ、破損
・挿入、抜去の際に回路ロックを忘れる。
・カテーテル抜去後に刺入孔が閉じてない。→抜去後も注意。
・挿入、抜去時の深呼吸(吸い込み)
・head up position。
・Barotrauma
→陽圧換気がリスクとなりうる。
・成人ARDS
・hyaline menbrane diseaseの新生児
・ダイバー
・100,000 diveに7例のリスク。
・PVに溶解していたgasがいきなり左心系に出現することも。
・合併症
・Large bubbles
→pulmonary outflow tract閉塞(”air lock”)。
→CVP上昇、PAP低下、ABP低下。
・Smaller bubbles
→肺の細動脈閉塞→肺血管収縮→PAP上昇→RVP上昇
・頻脈により一過性にCOは上昇、その後低下。ABPも低下。
・肺の微小循環系airは血管内皮細胞障害を引き起こす。
→肺水腫、気管支攣縮、VQ-mismatch、
死腔増加、気道抵抗増加など
・臨床症状
・minor caseでは無症状
・severe caseでは血行動態破綻、臓器不全も。
・呼吸苦はほぼ必発(呼吸促迫、傍胸骨の疼痛、浮遊感を伴う)。
・息切れ、咳嗽
・頻呼吸、頻脈、低血圧、wheezing、crackles、呼吸不全、・・・
・精神状態の変化、巣症状、網状皮斑なども。
・arterial air embolismでは塞栓による臓器障害。
・鑑別診断
・呼吸不全、循環不全、中枢神経疾患の鑑別を。
・治療
・Venous air embolism
→すぐに左側臥位に
・left lateral decubitus position
・Trendelenburg position
・Left lateral decubitus head down position
・Arterial air embolism
→すぐに仰臥位に。
・動脈系は高圧系
やjりう氏どんなpositionでもairは飛んで行く。
・頭蓋内圧を揚げるhead down positionは避けるべき。
・目標はRVOTから細動脈へairを追い出すこと。
・右心系airの場合は体位変換が効果的。
→airの場所が変わりRVOTから外れる。
・それでも血行動態破綻が続くのであれば・・・
→側臥位で胸骨圧迫開始。
・空気塞栓のcaseでは動物実験で有効性が示されている。
・CVカテーテルから脱気する。
・20ml程度しか引けない。
・CVカテ入ってる場合にのみ試す価値あり。
・高濃度酸素吸引
・血中酸素分圧増加→血中窒素分圧低下→airの血中吸収促進
・高圧酸素療法(HBO)
・循環動態が安定しているなら有益かもしれない。
・早期開始(6h以内)で予後改善の報告。
・予後
・Severe caseでは死亡率30%との報告。
・HBOを施行した119例の報告(venous and arterial)。
・ICU死亡12%、病院死亡16%、半年死亡18%、1年死亡21%
・ICU死亡のリスク因子
→発症時心停止、ICU入室時SAPSⅡscore>33
・1年死亡のリスク因子
→高齢、Babinski反射陽性、AKI
・生存者のうち43%がICU退室時神経学的後遺症あり
→視野障害、植物状態、運動麻痺、認知障害、てんかん
→しかし75%は退院時症状軽快。