麻酔科勉強会 担当:O先生
「神経ブロックとデキサメタゾン投与」
・デキサメタゾンとは?
・副腎ステロイド製剤の1種
・デキサメタゾンリン酸エステル
・当院ope室に置いてあるステロイド剤の1つ
・1アンプル(3.3mg)96円
・手術室内におけるステロイド製剤の使用目的
・ステロイドカバー
・アナフィラキシー・ショックのセカンドアタック予防
・敗血症時
・嘔気予防
・咽頭浮腫予防
・鎮痛および局所麻酔の効果助長
・ステロイドの力価を知っておこう。
・デキサメタゾンの鎮痛補助効果
・デキサメタゾンは局所麻酔薬と併用されることがある。
・鎮痛作用も有するが、痛覚神経遮断時間だけでなく、
運動神経遮断時間も延長する。
・その機序は完全には解明されていない。
・経静脈投与でも鎮痛時間が延長する。
・デキサメタゾンの作用機序
・サイトカインを抑制し、異所性発火を抑制
・侵害受容性C線維のポリモーダル受容器のカリウム依存性発火を抑制
・侵害受容性C線維のポリモーダル受容器の
グルココルチコイド受容体に作用しC線維の活動低下
・血管収縮作用
・全身の抗炎症作用
・その他の機序もあるかもしれない。
・鎮痛目的でのデキサメタゾンの使用
・神経ブロックとの併用(神経周囲投与)と全身投与
・これまでその違いについてはあまり語られてこなかった。
・DesmetらのRCTではその鎮痛時間延長効果に違いはないと結論。
・BJAのReview読みました。
・神経ブロック施行時にはデキサメタゾンIVを考慮しても良い。
・脊椎麻酔時には運動神経遮断時間も延長するため要注意。
・神経ブロック時ロピバカインに
デキサメタゾンを混ぜることの意義は現時点では乏しい。
2018年1月27日土曜日
2018年1月26日金曜日
呼吸モニタリング
麻酔科勉強会 担当:K先生
「呼吸モニタリング」
・JSAガイドライン
「安全のためのモニター指針」
1.基本Ⅰ
・全身麻酔、局所麻酔を行う際は絶えず麻酔科医がいて
モニタを監視する。
2.基本Ⅱ
・患者の酸素化、換気、循環、体温を全体を通し評価する。
2.1酸素化
目的:吸入酸素濃度と血中酸素濃度を適切に保つ。
2.2方法
2.2.1 吸入ガス:麻酔器を使用する場合、
酸素濃度計を用いて低濃度酸素に対するアラームを設定。
2.2.2 血中酸素化:麻酔中パルスオキシメトリーのような
酸素量を測る器機を利用する。
音の高さや低酸素に対するアラームを設定する。
患者の皮膚の色を評価できるよう室内の明るさを調節する。
3.換気
3.1目的:麻酔中適切な換気がなされているか。
3.2 方法
3.2.1 胸郭の動き、リザーバーバッグの観察、呼吸音の聴診。
無効でなければ絶え間ない呼気中二酸化炭素モニタリング。
呼気ガスの定量的モニタリングも推奨される。
3.2.2 挿管もしくはLMA挿入する場合も呼気中CO2を計測し、
抜管もしくは術後移動まで計測する。
アラームも聞こえるようにする。
3.2.3 機械換気をする場合は呼吸回路が外れた時に
アラームが鳴る様に設定する。
3.2.4 鎮静無しの局所麻酔では持続的な臨床徴候を観察する。
鎮静下では無効でなければ呼気中二酸化炭素を計測する。
・パルスオキシメーター
・オキシメトリーとプレシスモグラフィーを組み合わせて
非侵襲的に酸素飽和度を計測する。
・発光器と受光器があり、灌流があり光の透過する部位に装着する。
・額で計測する場合は反射光を受光する。
・オキシメトリー
・酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの
赤色光、赤外光の吸光度の違いによりfunctional SaO2を計測する。
・プレシスモグラフィー
・循環による容積変化を記録する。
・これにより拍動する動脈だけを計測できる
・成人においては
・酸化ヘモグロビン(O2Hb)
・還元ヘモグロビン(deO2Hb)
・一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)→1~3%
・メトヘモグロビン(MetHb)→1%
・パルスオキシメトリーの限界
・SaO2の予測値であり正確な組織酸素化を示すわけではない。
・SpO2はfunctional SaO2の測定であり
fractional SaO2を示すわけではない
→一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症では不正確。
多波長ならば計測可能。
・色素の影響
・低灌流では検出できない。
・センサーの劣化、受光器の位置
・CO2計測
・カプノメーター:吸気、呼気中の二酸化炭素濃度
・カプノグラフィ:二酸化炭素計測だけでなく、時間と容量の関数も含む。
・カプノグラフ:時間の関数として二酸化炭素濃度を表示する装置
・カプノグラム:カプノグラフをによって描かれた図形
・カプノグラフィの原理
・質量分析、ラマン分光測定、ガスクロマトグラフィーなど。
・もっとも多く用いられている方法は非分散赤外線吸収。
・二酸化炭素は4.26μm付近の赤外線を吸収するため、
減衰量から二酸化炭素濃度を計算する。
・カプノメーターの種類
・メインストリーム
・呼吸回路に直接装着
・リアルタイムで計測
・死腔が増える
・サイドストリーム
・30~500ml/min採取される。
→低流量や体重の軽い新生児等で不正確
・波形の上昇に時間がかかる。
「呼吸モニタリング」
・JSAガイドライン
「安全のためのモニター指針」
1.基本Ⅰ
・全身麻酔、局所麻酔を行う際は絶えず麻酔科医がいて
モニタを監視する。
2.基本Ⅱ
・患者の酸素化、換気、循環、体温を全体を通し評価する。
2.1酸素化
目的:吸入酸素濃度と血中酸素濃度を適切に保つ。
2.2方法
2.2.1 吸入ガス:麻酔器を使用する場合、
酸素濃度計を用いて低濃度酸素に対するアラームを設定。
2.2.2 血中酸素化:麻酔中パルスオキシメトリーのような
酸素量を測る器機を利用する。
音の高さや低酸素に対するアラームを設定する。
患者の皮膚の色を評価できるよう室内の明るさを調節する。
3.換気
3.1目的:麻酔中適切な換気がなされているか。
3.2 方法
3.2.1 胸郭の動き、リザーバーバッグの観察、呼吸音の聴診。
無効でなければ絶え間ない呼気中二酸化炭素モニタリング。
呼気ガスの定量的モニタリングも推奨される。
3.2.2 挿管もしくはLMA挿入する場合も呼気中CO2を計測し、
抜管もしくは術後移動まで計測する。
アラームも聞こえるようにする。
3.2.3 機械換気をする場合は呼吸回路が外れた時に
アラームが鳴る様に設定する。
3.2.4 鎮静無しの局所麻酔では持続的な臨床徴候を観察する。
鎮静下では無効でなければ呼気中二酸化炭素を計測する。
・パルスオキシメーター
・オキシメトリーとプレシスモグラフィーを組み合わせて
非侵襲的に酸素飽和度を計測する。
・発光器と受光器があり、灌流があり光の透過する部位に装着する。
・額で計測する場合は反射光を受光する。
・オキシメトリー
・酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの
赤色光、赤外光の吸光度の違いによりfunctional SaO2を計測する。
・プレシスモグラフィー
・循環による容積変化を記録する。
・これにより拍動する動脈だけを計測できる
・成人においては
・酸化ヘモグロビン(O2Hb)
・還元ヘモグロビン(deO2Hb)
・一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)→1~3%
・メトヘモグロビン(MetHb)→1%
・パルスオキシメトリーの限界
・SaO2の予測値であり正確な組織酸素化を示すわけではない。
・SpO2はfunctional SaO2の測定であり
fractional SaO2を示すわけではない
→一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症では不正確。
多波長ならば計測可能。
・色素の影響
・低灌流では検出できない。
・センサーの劣化、受光器の位置
・CO2計測
・カプノメーター:吸気、呼気中の二酸化炭素濃度
・カプノグラフィ:二酸化炭素計測だけでなく、時間と容量の関数も含む。
・カプノグラフ:時間の関数として二酸化炭素濃度を表示する装置
・カプノグラム:カプノグラフをによって描かれた図形
・カプノグラフィの原理
・質量分析、ラマン分光測定、ガスクロマトグラフィーなど。
・もっとも多く用いられている方法は非分散赤外線吸収。
・二酸化炭素は4.26μm付近の赤外線を吸収するため、
減衰量から二酸化炭素濃度を計算する。
・カプノメーターの種類
・メインストリーム
・呼吸回路に直接装着
・リアルタイムで計測
・死腔が増える
・サイドストリーム
・30~500ml/min採取される。
→低流量や体重の軽い新生児等で不正確
・波形の上昇に時間がかかる。
2018年1月12日金曜日
ダブルルーメン?それともブロッカー?
麻酔科勉強会 担当:Q先生
「ダブルルーメン(DLT)?それともブロッカー(BB)?」
・DLTとBBを比較したメタアナリシス
・39RCT DLTとBB比較
・DLT:留置時間短い、位置異常起こりにくい。
・BB: 術後の咽頭痛、嗄声、気道損傷リスク低い。
・分離肺換気の適応
・大きくわけて二つ
・絶対的適応
1. 他肺からの感染性分泌物・血液の流入阻止
A. 肺膿瘍・膿胸などの感染症
B. 大量出血(喀血)
2. 開放気道が存在する場合
A. 気管支瘻・気管支皮膚瘻
B. 手術が主要気道に及ぶ場合
C. 気管・気管支の損傷
3. 一側の肺胞洗浄
A. 肺胞蛋白症
・相対的適応
1. 術野の視野確保
A. 胸部大動脈瘤
B. 肺全摘術
C. 胸腔鏡手術
D. 肺葉切除術
E. 食道切除術
F. 胸椎手術
・DLT、右用と左用
・左用DLT
・原則としては左用(90-95%)
・右用DLT
・左用DLTが適応でない場合
・気管偏位に伴い先端挿入困難な場合
・胸部大動脈瘤
・結核後遺症
・縦隔腫瘍などによる圧排
・左気管支に病変
・腫瘍などにより左気管支狭窄
・左気管支に腫瘍・潰瘍・瘻孔
・左肺全摘出手術
・主気管支長:右<左⇒安全域が狭い
・右主気管支が10mm未満の症例は使用できない(Benumofら)
・DLT挿入方法
・気管に留置してからファイバーで誘導する方法
・盲目的に左主気管支に進めてファイバーで確認する方法
→出血のリスク、2ndカリーナに入ってしまうリスク
・DLTとBBの利点、欠点
・DLT: 留置に時間がかからない
肺の虚脱が早い
位置異常が少ない
非換気肺にCPAP可能
・BB: 肺葉ブロック可能
挿管困難時有利
チューブ入れ替え不必要
・肺の虚脱についてRCTがある。
・randomized-controlled trial
・対象:VATSのために片肺換気を受ける40人の患者
・比較:2群比較。一方はBBを用い他方は左用DLT。
・結果:開胸から肺の完全な虚脱が得られるまでの時間はBB群で短く、
各段階での肺の虚脱の程度もBBで高かった。
・重症肥満患者では?
・randomized-controlled trial
・対象:一側肺換気を必要とする重症肥満患者50人
・比較:DLT群 vs SLT+BB群
・結果:最初の試行で挿管が成功しなかったのは DLT群で3例
BB 群で2例と同程度だった。
肺分離後の肺の虚脱の程度にも群間で差がなかった。
・HPVのお話
・OLV麻酔開始時の通常の呼吸管理
・できるだけ長く両肺換気を維持
・FiO2=1.0を使用
・8~10ml/kgの一回換気量で片肺換気を開始(PCV>VCV)
→肺保護戦略のため6ml/kg程度+PEEPの方が優れているという報告も。
・PaCO2=40mmHgとなるよう呼吸数を設定
・酸素化および換気の連続モニタリングの使用
・PEEPをどうするか。
・換気肺PEEP
・5cmH₂O以下にて開始
(肺血管抵抗の過剰な上昇を防ぐため)
・非換気肺PEEP
・5~10cmH₂OはPaO₂を有意に上昇させる。
・5~10cmH₂Oは手術操作の妨げにならない。
・上側肺のCPAPによる下側肺への血流シフトは、
PaO2の改善に有効である。
「ダブルルーメン(DLT)?それともブロッカー(BB)?」
・DLTとBBを比較したメタアナリシス
・39RCT DLTとBB比較
・DLT:留置時間短い、位置異常起こりにくい。
・BB: 術後の咽頭痛、嗄声、気道損傷リスク低い。
・分離肺換気の適応
・大きくわけて二つ
・絶対的適応
1. 他肺からの感染性分泌物・血液の流入阻止
A. 肺膿瘍・膿胸などの感染症
B. 大量出血(喀血)
2. 開放気道が存在する場合
A. 気管支瘻・気管支皮膚瘻
B. 手術が主要気道に及ぶ場合
C. 気管・気管支の損傷
3. 一側の肺胞洗浄
A. 肺胞蛋白症
・相対的適応
1. 術野の視野確保
A. 胸部大動脈瘤
B. 肺全摘術
C. 胸腔鏡手術
D. 肺葉切除術
E. 食道切除術
F. 胸椎手術
・DLT、右用と左用
・左用DLT
・原則としては左用(90-95%)
・右用DLT
・左用DLTが適応でない場合
・気管偏位に伴い先端挿入困難な場合
・胸部大動脈瘤
・結核後遺症
・縦隔腫瘍などによる圧排
・左気管支に病変
・腫瘍などにより左気管支狭窄
・左気管支に腫瘍・潰瘍・瘻孔
・左肺全摘出手術
・主気管支長:右<左⇒安全域が狭い
・右主気管支が10mm未満の症例は使用できない(Benumofら)
・DLT挿入方法
・気管に留置してからファイバーで誘導する方法
・盲目的に左主気管支に進めてファイバーで確認する方法
→出血のリスク、2ndカリーナに入ってしまうリスク
・DLTとBBの利点、欠点
・DLT: 留置に時間がかからない
肺の虚脱が早い
位置異常が少ない
非換気肺にCPAP可能
・BB: 肺葉ブロック可能
挿管困難時有利
チューブ入れ替え不必要
・肺の虚脱についてRCTがある。
・randomized-controlled trial
・対象:VATSのために片肺換気を受ける40人の患者
・比較:2群比較。一方はBBを用い他方は左用DLT。
・結果:開胸から肺の完全な虚脱が得られるまでの時間はBB群で短く、
各段階での肺の虚脱の程度もBBで高かった。
・重症肥満患者では?
・randomized-controlled trial
・対象:一側肺換気を必要とする重症肥満患者50人
・比較:DLT群 vs SLT+BB群
・結果:最初の試行で挿管が成功しなかったのは DLT群で3例
BB 群で2例と同程度だった。
肺分離後の肺の虚脱の程度にも群間で差がなかった。
・HPVのお話
・OLV麻酔開始時の通常の呼吸管理
・できるだけ長く両肺換気を維持
・FiO2=1.0を使用
・8~10ml/kgの一回換気量で片肺換気を開始(PCV>VCV)
→肺保護戦略のため6ml/kg程度+PEEPの方が優れているという報告も。
・PaCO2=40mmHgとなるよう呼吸数を設定
・酸素化および換気の連続モニタリングの使用
・PEEPをどうするか。
・換気肺PEEP
・5cmH₂O以下にて開始
(肺血管抵抗の過剰な上昇を防ぐため)
・非換気肺PEEP
・5~10cmH₂OはPaO₂を有意に上昇させる。
・5~10cmH₂Oは手術操作の妨げにならない。
・上側肺のCPAPによる下側肺への血流シフトは、
PaO2の改善に有効である。
2018年1月6日土曜日
周術期の輸血
初期研修医勉強会 担当:Y先生
「周術期の輸血」
・もともと貧血がある
・出血した
・術後、貧血が進行
→周術期に輸血を考慮することは少なくない。
・同種輸血の合併症
・ABO型あるいは不規則抗体の不適合輸血
・遅発性溶血性副作用
・発熱
・蕁麻疹
・GVHD
・感染症
・TRALI
・TACO
・輸血合併症は減少傾向にある。
・種々のスクリーニング検査の導入と精度向上
・赤血球保存期間の短縮
・放射線照射を含む白血球除去等
・とりわけFNHTRやPT-GVHDは大きく減少している。
・輸血に関わる有名なStudy
・TRICC trial
・ICU入室後、72時間以内にHb<9g/dLとなったPt
・制限輸血(Hb<7g/dL, 7-9g/dLを目標)
vs 非制限輸血(Hb<10g/dL, 10-12g/dLを目標)
・アウトカム(死亡率、臓器障害、病院滞在日数)に差はなかった。
・心血管イベント、心筋梗塞、肺水種の発生率は
非制限輸血群で有意に高かった。
・FUCUS trial
・心血管疾患のリスクあるいは既往のあるPtでTHA
・術後3日目までの段階で
制限輸血(Hb<8g/dL)vs非制限輸血(Hb<10g/dL)
・死亡率に有意差なし。
・制限輸血群 vs 非制限輸血群を比較したmeta-analysis
・RCT21study8,735例
・重篤な感染症発生率は11.8%vs16.9%(RR 0.82,95%CI:0.72-0.95)
・制限輸血群は非制限輸血群に対し非劣勢という理解のもとに、
・NICE:Hb<7g/dLで輸血を考慮するよう提唱(目標はHb 7-9g/dL)
・TITRe2 study
・心外術後における制限輸血(Hb<7.5g/dL)vs非制限輸血(Hb<9g/dL)
・3か月以内の重症感染症、虚血性イベントで比較
・死亡率は制限輸血群のほうが多かった。
・ASAのガイドラインでは?
術前に…
①patient blood management protocolに則る
・Society for the Advancement of Blood Managementが提唱
・EBMや手術方針とすり合わせ
・輸血を減らしながら患者のアウトカムを改善しようという考え。
・術前に貧血を是正しておく。
・貧血の原因は?
・鉄材内服、rEPO使用など
・貧血で妨げられる酸素化を克服する。
・心機能評価
・COを調節する
・酸素化や呼吸器設定を調節
・酸素需要を下げる・・・
・PBM自体が非劣性であることが示された研究もある。
・独4大学病院でPBM導入
・RBC投与量/1人が減少し有害事象全体の発生率が不変。
・AKIについてはPBMで減少。
②抗凝固薬の拮抗を用意する
③失血を防ぐため止血剤を考慮する
④希釈性自己血輸血を考慮する
・A&Aに論文があったので紹介。
「周術期の輸血」
・もともと貧血がある
・出血した
・術後、貧血が進行
→周術期に輸血を考慮することは少なくない。
・同種輸血の合併症
・ABO型あるいは不規則抗体の不適合輸血
・遅発性溶血性副作用
・発熱
・蕁麻疹
・GVHD
・感染症
・TRALI
・TACO
・輸血合併症は減少傾向にある。
・種々のスクリーニング検査の導入と精度向上
・赤血球保存期間の短縮
・放射線照射を含む白血球除去等
・とりわけFNHTRやPT-GVHDは大きく減少している。
・輸血に関わる有名なStudy
・TRICC trial
・ICU入室後、72時間以内にHb<9g/dLとなったPt
・制限輸血(Hb<7g/dL, 7-9g/dLを目標)
vs 非制限輸血(Hb<10g/dL, 10-12g/dLを目標)
・アウトカム(死亡率、臓器障害、病院滞在日数)に差はなかった。
・心血管イベント、心筋梗塞、肺水種の発生率は
非制限輸血群で有意に高かった。
・FUCUS trial
・心血管疾患のリスクあるいは既往のあるPtでTHA
・術後3日目までの段階で
制限輸血(Hb<8g/dL)vs非制限輸血(Hb<10g/dL)
・死亡率に有意差なし。
・制限輸血群 vs 非制限輸血群を比較したmeta-analysis
・RCT21study8,735例
・重篤な感染症発生率は11.8%vs16.9%(RR 0.82,95%CI:0.72-0.95)
・制限輸血群は非制限輸血群に対し非劣勢という理解のもとに、
・NICE:Hb<7g/dLで輸血を考慮するよう提唱(目標はHb 7-9g/dL)
・TITRe2 study
・心外術後における制限輸血(Hb<7.5g/dL)vs非制限輸血(Hb<9g/dL)
・3か月以内の重症感染症、虚血性イベントで比較
・死亡率は制限輸血群のほうが多かった。
・ASAのガイドラインでは?
術前に…
①patient blood management protocolに則る
・Society for the Advancement of Blood Managementが提唱
・EBMや手術方針とすり合わせ
・輸血を減らしながら患者のアウトカムを改善しようという考え。
・術前に貧血を是正しておく。
・貧血の原因は?
・鉄材内服、rEPO使用など
・貧血で妨げられる酸素化を克服する。
・心機能評価
・COを調節する
・酸素化や呼吸器設定を調節
・酸素需要を下げる・・・
・PBM自体が非劣性であることが示された研究もある。
・独4大学病院でPBM導入
・RBC投与量/1人が減少し有害事象全体の発生率が不変。
・AKIについてはPBMで減少。
②抗凝固薬の拮抗を用意する
③失血を防ぐため止血剤を考慮する
④希釈性自己血輸血を考慮する
・A&Aに論文があったので紹介。
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