「SSI予防、FiO2いくらにする?」
・CDC 2017より
・周術期の血糖コントロールを実施し、糖尿病の有無にかかわらず
血糖の目標レベルを200 mg/dL未満にする。(カテゴリー IA)
・周術期の正常体温を維持する。(カテゴリー IA)
・気管内挿管されている全身麻酔の正常肺機能の患者では、
手術中および手術直後の抜管のあとはFIO2 を増加させる。
組織の酸素輸送を最適にするために、
周術期の正常体温と十分な体液補充を維持する。(カテゴリー IA)
・禁忌でなければ、アルコールベースの消毒薬にて
皮膚を消毒する。(カテゴリー IA)
・SSIの予防のためにヨードホール水溶液にて深部
もしくは皮下組織を術中に潅流することを考慮にいれる。
不潔もしくは汚染の腹部手術において
ヨードホール水溶液での術中潅流は必要ない。(カテゴリーII)
・WHOのガイドライン
・術中はFiO2 80%、術後2-6hも継続を推奨。
・今までのガイドラインでは?
・SHEA/IDSA (2014)
・術中、術後も十分な酸素を投与すること。
・NICE (2008), The Royal College of Physicians of Lreland (2012),
Health Protection Scotland bundle (2013),
UK High impact intervention bundle (2011)
→Haemoglobin Satを95%以上に保つことを推奨。
・2013 Anesthesiology
→FiO2高い方がSSIを減らすとのメタがあった。
(FiO2 0.5より上か下かで比較)
・酸素の害と利益
• Paule Bert(1878)
→動物で痙攣発作,
人間では視野狭窄、めまい、頭痛、耳鳴、
嘔気、嘔吐、けいれん
• Smith(1898)
→100% O2を24時間
→呼吸苦、胸痛、無気肺、気管支炎、肺水腫
• hyperoxic acute lung injury: ←ROSによる。
• ROSは病原菌も正常組織も傷害する
・FiO2
• FiO2 28%を1時間→ROS,IL-6増加
• FiO2 40%炎症惹起、apoptosis,細胞死(全身の組織に影響)
• 中等度、軽度の脳卒中後の酸素は
ADLの低下につながる。(Stroke. 1999 Oct;30(10):2033-7.)
・Crit Care Med. 2015;43:1508-19
→Hyperoxiaはpoor hospital outcomeと関連する。
・JAMA. 2009;302:1543-50.
→腹部手術においてFiO2 80%はFiO2 30%と比較して
SSIのリスクに有意差はない。
→2年後のfollow upではFiO2 0.8、Hazard 比1.3で死亡率増大。
・Br J Anaesth. 2015;115:434-43
→FiO2 80%にしてもSSIリスクを減らさない。
・さあ、どうしましょうか。