「輸液蘇生の6つの原則」
先月号のCCM、Mr. Marik氏より。
1・輸液反応性が大事!輸液蘇生の目的を知るべし。
・輸液蘇生の目的はSVの増加!!これに尽きる。
・SVが増加するためには以下の2つの条件が揃わなければならない。
①CVPが上がるよりもstressed volume (MCFP)が増え、
結果としてVenous returnが増えること
②両心室の機能がFrank-Starling曲線の上行脚にいること
2・臨床所見、胸部レントゲン、CVP、エコーで輸液反応性を評価すべきでない。
・低血圧や頻脈、脈圧の低下、CRTの延長など
→不適切な組織灌流を反映するが
volume statusや輸液反応性を決定することはできない。
・CVPの変化やIVCの変化、MAPの変化など
→輸液反応性の指標としては不適切である。
・心エコーでのVTI
→測定手技の習熟度の問題と再現性の問題もあり適さない。
→ やっぱりSVモニタリング!
3・Stroke volumeをモニターしながらの下肢挙上テストと
Fluid challengeが輸液反応性を見る唯一の正しい方法である。
4・輸液反応性の効果は短命と知るべし。
・Fluid challenge (200-500mL)の効果はわずかで一時的なものである。
・30min-1hrもすれば元に戻る。
→低血圧、ショック、乏尿の場合の治療戦略として
Fluid challengeは不十分であることが多い。
5・輸液反応性があるからといって輸液をしなければならないわけではない。
・健康成人のほとんどがFrank-Starling曲線の上行脚にいる。
・重症患者をFrank-Starling曲線のトップを目指す必要はない。
・fluid challengeによる血行動態に及ぼす利点が
プラスバランスとして体液を蓄える欠点を上回る時だけである。
6・CVP高値は臓器灌流障害の原因となる。
・MAP-CVPが臓器灌流を規定する。
・SSCGでは初期輸液で8mmHgを目指すよう言われているが
CVP>8mmHgはAKIリスクである。
麻酔科ローテーション研修医Drへのオリエンテーション