2014年2月28日金曜日

気管支喘息

ICU勉強会  担当:K先生

「気管支喘息」

・喘息患者は世界で3億人ほど
  ・北米、英国、オーストラリア、ブラジルに多い。
  ・ロシアや中国は低いらしい。(診断されていない?)
  ・日本では高知県がなぜか高い。
・喘息とは?
  ・気道の慢性炎症
     →起動障害と気道構造の変化(リモデリング)
     →非可逆性の気流制限
     →気道過敏性の亢進
・気管支喘息の治療の変遷
  ・ハーブの煙の吸入(紀元前、エジプトなど)
  ・アトロピン、ベラドンナ(1900年代前半)
  ・エピネフリン吸入(1947年)
  ・β2アドレナリン受容体刺激(1967年)
・ICSとLABA合剤が有効な理由
  ・両薬剤の補完的な作用
  ・ステロイド受容体刺激のβ2受容体に対する効果
  ・Β2受容体刺激のステロイド受容体に対する効果
  ・両薬剤が肺内のほぼ同部位に同時に吸入される
・気道への好酸球浸潤
  ・中枢では気道粘膜近くに多い
  ・末梢ではより遠位側に多い
    →末梢へ吸入ステロイド薬を充分量到達させる必要性
    →ICS粒子径が小さいほど喘息コントロールが良好な可能性
・喘息とCOPDの鑑別
 ・喘息→可逆性の気流制限
 ・COOPD→非可逆性の気流制限
   ・COPDの診断基準
     1.気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで
      FEV1/FVC<70%を満たすこと。
     2.他の気流閉塞をきたし得る疾患を除外すること
      1.気管支喘息
      2.びまん性汎細気管支炎
      3.先天性副鼻腔気管支症候群
      4.閉塞性細気管支炎
      5.気管支拡張症 
      6.肺結核
      7.塵肺症
      8.肺リンパ脈管筋腫症
      9.うっ血性心不全
      10.間質性肺疾患
      11.肺癌
・喘息?COPD?
  ・喘息と診断された患者の30%は非可逆性の気流制限を示す。
  ・COPDと診断された患者の10%に気道可逆性がある。
  ・高齢者喘息、リモデリングが進んだ喘息に多い。
  ・COPDはタバコとの関連が強い。
  ・COPDと診断されていても喘息の合併を疑うとき
    ①発作性呼吸困難
     ②夜間早朝の喘鳴、呼吸困難
        ③アトピー素因
        ④喀痰、末梢血好酸球増加
・喘息の病態と治療薬の役割
  ・長期管理薬(連用:コントローラー)
    ・吸入ステロイド薬
    ・長時間作動性気管支拡張薬(吸入)
    ・長時間作動性気管支拡張薬(経口・貼付)
    ・ロイコトリエン受容体拮抗薬
    ・テオフィリン徐放性製剤
  ・発作治療薬(頓用)
    ・短時間作動型β刺激薬の吸入剤が基本(迅速な拡張効果)。
    ・発作治療薬の使用頻度は長期管理薬の見直しのメッセージ。
・抗IgE抗体
  ・75㎎ 1瓶 35642円・・・高い
・新しい喘息治療薬など




新しい治療が始まりました

2014年度になり、当院でも新たな治療が始まりました。


  経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)


   ロボット支援下前立腺全摘術



新しい手術に対しても、安全な麻酔・周術期管理を確立すべく、
スタッフ一同、頑張っていこうと思います。

ストレス潰瘍予防


ICU勉強会  担当:K先生

「潰瘍予防」

・ストレス潰瘍の機序
  ・重症疾患
   →腸管内循環不全
     →HCO3分泌低下
     →胃粘膜血流低下
     →腸管蠕動低下
     →胃酸の胃内停滞
       →急性ストレス潰瘍の発生
・ストレス潰瘍予防の適応
 ・次の項目のうち一つ
  ・凝固異常(血小板数<5万orINR>1.5 APTT>正常値の2倍)
  ・48時間以上の人工呼吸
  ・上部消化管出血or潰瘍の既往
  ・外傷性の脳損傷・脊髄損傷・熱傷(対表面積の35%以上)
 ・次の項目のうち二つ
  ・敗血症
  ・ICU滞在が1週間以上
  ・潜血陽性が6日以上
  ・ステロイド治療(ハイドロコルチゾン250mgかそれと同等)
・PPIとH2RAの作用機序
・胃潰瘍診療ガイドライン
  ・非ピロリ胃潰瘍→PPI第一選択肢
・PPI vs H2blocker
  ・H2RAの方が出血率が高かったという報告
  ・SSCG2012ではH2RAよりPPI推奨
・ストレス潰瘍予防薬のデメリット
 ・PPIとC.difficile感染症
   →毎日PPI or H2RA投与でCD感染発症率が上がるという報告
 ・潰瘍予防薬とHAP
   →PPIはH2RAと比較してHAP発生率が高いという報告
 ・PPIと骨折リスク
   →PPIの使用で股関節骨折のリスクが上昇するという報告。
     ・使用歴がなかければリスク上昇
     ・PPI中止後2年以内はその傾向が続く
   原因は???
    ・小腸からのCa吸収低下説
    ・PPIが破骨細胞の活動を促進する説
・経管栄養開始後のストレス潰瘍予防は必要?
  ・経腸栄養あり:①潰瘍予防薬の効果がない可能性
             ②肺炎の副作用がある可能性
  ・経腸栄養なし:①潰瘍予防薬の効果あり。
・アスピリン内服中患者の一次予防は?
  ・エヴィデンスレベルの高い報告がない。
  ・急性期は必要だろうが慢性的長期投与は必要ないだろう。