麻酔科勉強会 担当:Y先生
「手術室の電気と放射線のお話」
・手術室における電気のお話。
・手術室の電気トラブル
・感電、停電、漏電、Overload
・電位があるから電流が流れる。
→患者を挟んで電位差が発生すれば感電リスクとなる。
・感電
・皮膚抵抗+体内抵抗に打ち勝って体内に電流が流れる。
・皮膚抵抗:1000-5000Ω
・体内抵抗:150-500Ω
・特に心臓に通電した時が問題となる。
→致死性不整脈を引き起こす恐れ
・MicroshockとMacroshock
・Microshock
・カテーテル等を介して体内に直接通電
・皮膚抵抗を越えなくてよいので小電流でも問題となる。
・0.1mAでもVFをきたすリスクがある。
・主に病院で問題となる感電
・Macroshock
・皮膚を介して感電、比較的大きな電流
・院外で一般的な感電
・皮膚抵抗は発汗により変化
・1mAで電気を感じる(最小感知電流)
・10-20mAで持続的筋収縮により離脱できなくなる。
→離脱電流
・アース
→医療機器をアースすることにより機器間の電位差をなくす。
→感電を防ぐ。
・保護設置
→患者が触れるすべての機器、露出金属を0.1Ω以下の導線で
医用設置センタに1点集中接地することによって、
すべての金属表面間の電位差を10 mV以下に抑える。
→手術室の3点コンセントの下の穴がアース。
・アースピンは最も長くなっている。
→最初にアースが入り、抜くときも最後まで残る。
・もしも地絡や感電などで大電流が流れると・・・
→電流本幹のヒューズが飛んで施設全体が停電する可能性。
→患者の生命に関わる医療機器を扱う病院では危険!!!
→非接地配線方式の採用。
・絶縁トランスの使用
→電磁誘導により電気的に隔離された二次回路を形成。
→手術室は電気的に隔離(isolation)されている。
→地絡によっても本線ののヒューズが飛ぶことはない。
・漏電監視モニターの使用
・機器に絶縁不良が、起こっていないか監視、警報する装置。
・2mA以上の漏れ電流が発生した場合は、
ランプと警報音により危険状態を警告。
・もし絶縁監視警報が鳴ったら1つ1つ機器をコンセントから抜き、
どの機器で警報が停止するかを確認する。
・停電時には???
・一般非常電源(白)
→40秒以内に自家発電設備が電圧を確立。
・特別非常電源(当院では赤)
→10秒以内に自家発電設備が電圧を確立。
・瞬時特別非常電源(当院では緑)
→0.5秒以内に電池設備が電圧を確立、10分は持つ。
・ロードモニター
・各コンセントユニットは20Aまで。
・16Aを越えると警告が鳴る。
・ウォームタッチ、TEEは電力消費が非常に大きい。
→タコ足配線禁忌!
・体表エコーも電力消費が大きい。できるだけ単独で。
・HOTLINEもタコ足配線は避けましょう。
・手術室における放射線のお話
・確率的影響と確定的影響
・Gy(グレイ)とSv(シーベルト)
・線量限度
・男性および妊娠の可能性、意思のない女性
→5年で100mSv、1年で50mSv
・女性(妊娠予定がある方)
→5年で100mSv、1年で50mSv、3カ月で5mSv
・女性(妊娠中)
→妊娠予定のある女性の規則に加えて、
妊娠の事実を知った時から出産までに
内部被ばく限度1mSv, 腹部表面被ばく限度2mSv.
・目安として1.8mSv/月を越えて被ばくしてはならない。
・術後ポータブル写真撮影時にどれだけ離れればよいか。
・患者から2m離れると・・・
→胸部単純:0.09uSv、腹部単純:0.52uSvを被ばく。
・通常、自然放射線は6.6uSv/day浴びている。
→撮影時は2m離れればほぼ被ばくの影響は皆無。
・CT、透視、血管造影は大量に被ばくするので要注意。
→必ずプロテクターを着用すること。
・X線透視時にはベッド下に光電管が来ることが多い。
→放射線は下から上に向かって放射される。
→そしてベッドや患者に反射して周囲に散らばる。
→麻酔科医は主に下からの放射線を防御すべし。
・プロテクターの選定
・重いプロテクターと軽いプロテクター、どちらがよいか。
・0.25mmと0.35mmとで遮へい能力に有意差はない。
・重い防護衣を着用すると診療行為に対する集中力が
低下したり腰痛の原因になる。
→軽いプロテクターを選ぶべし。
2016年8月6日土曜日
アセトアミノフェン
麻酔科勉強会 担当:T先生
「アセトアミノフェン」
・アセトアミノフェンの歴史
・1877年、Morse(米)がはじめて合成
・1887年、von mering(独)が鎮痛薬として臨床使用
・1953年、処方薬として発売
その後、忘れられる
・1940年代、アセトアミノフェンがアニリド系の代謝産物と判明
・1955年、小児用のTylenol発売
・作用機序
→実はよくわかっていない・
・ペルオキシダーゼ阻害作用説
・AM404説
・Cox-3阻害作用説
・薬物動態
・IVもoralも投与直後以外は血漿中濃度の推移同様
・しかし、CSF中濃度(効果部位?)はIV, oral, rectalの順にピーク。
→IV: 2h後, oral: 4h後, rectal: 6h後
・肝臓での初回通過効果の有無
・投与直後の急激な濃度上昇→濃度勾配によるCSFへの受動拡散
・坐薬は以外と時間かかる(便やpHの影響?)
・効果のほどは?
・術後痛に対する単回IV投与に関するメタアナリシス
→4時間後も50%以上の鎮痛が得られているのは、
アセトアミノフェン37% vs プラセボ 16%
・オピオイド使用量減少
・しかしオピオイド関連の副作用には有意差なし
・肝障害について
・CYP2E1による代謝産物NAPQI
→グルタチオン抱合され排泄
→グルタチオンが枯渇すると肝障害
・肝障害→炎症→さらなる肝障害?
・飲酒→CYP2E1誘導→NAPQI増加
・低栄養→グルタチオン不足
・150mg/kg以上で肝障害の可能性 350mg/kg以上で重篤な肝障害
・慢性肝疾患(肝硬変含む)でも4g/日までなら
問題ないとする報告が多い。
→14日以上投与する場合は2-3g/日にするべき。
・治療
→活性炭、1h以内なら胃洗浄
N-アセチルシステイン(グルタチオン前駆体)
「アセトアミノフェン」
・アセトアミノフェンの歴史
・1877年、Morse(米)がはじめて合成
・1887年、von mering(独)が鎮痛薬として臨床使用
・1953年、処方薬として発売
その後、忘れられる
・1940年代、アセトアミノフェンがアニリド系の代謝産物と判明
・1955年、小児用のTylenol発売
・作用機序
→実はよくわかっていない・
・ペルオキシダーゼ阻害作用説
・AM404説
・Cox-3阻害作用説
・薬物動態
・IVもoralも投与直後以外は血漿中濃度の推移同様
・しかし、CSF中濃度(効果部位?)はIV, oral, rectalの順にピーク。
→IV: 2h後, oral: 4h後, rectal: 6h後
・肝臓での初回通過効果の有無
・投与直後の急激な濃度上昇→濃度勾配によるCSFへの受動拡散
・坐薬は以外と時間かかる(便やpHの影響?)
・効果のほどは?
・術後痛に対する単回IV投与に関するメタアナリシス
→4時間後も50%以上の鎮痛が得られているのは、
アセトアミノフェン37% vs プラセボ 16%
・オピオイド使用量減少
・しかしオピオイド関連の副作用には有意差なし
・肝障害について
・CYP2E1による代謝産物NAPQI
→グルタチオン抱合され排泄
→グルタチオンが枯渇すると肝障害
・肝障害→炎症→さらなる肝障害?
・飲酒→CYP2E1誘導→NAPQI増加
・低栄養→グルタチオン不足
・150mg/kg以上で肝障害の可能性 350mg/kg以上で重篤な肝障害
・慢性肝疾患(肝硬変含む)でも4g/日までなら
問題ないとする報告が多い。
→14日以上投与する場合は2-3g/日にするべき。
・治療
→活性炭、1h以内なら胃洗浄
N-アセチルシステイン(グルタチオン前駆体)
TAVI症例も増えてきました。
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