2013年6月28日金曜日

ラテックスアレルギー

初期研修医勉強会 担当:A先生

「ラテックスアレルギー」

・ラテックスアレルギーとは?
  →即時型アレルギー反応
  →ラテックス中のタンパク質が抗原となる。
・ラテックスとは?
  ・hevea brasiliensisというゴムの木
  ・白いミルクのような樹液
    →超遠心分離にかけると・・・
    →半透明のC−cerumと白いラテックス粒子層に分けられる
    →C−cerum中にはアレルゲンとなるタンパクが含まれる
・ラテックス中アレルゲンはHevb1〜13に分類
  →この中で最も注目されているのはHevb 6.02
・ラテックスアレルギーの患者に行われている検査
  ①ラテックス特異IgE抗体検査の測定
  ②皮膚のプリックテスト
    →①は非侵襲的だが特異度が低い。
    →②は検査によるアナフィラキシー症状の報告あり
  →Hevb6.02特異IgE抗体検査
  →感度、特異度ともに高く非侵襲的
  →臨床応用される可能性もある
・交差反応について
  ・ラテックスアレルギーと診断された患者
    →50~70%が他の植物に交叉反応性を示すという報告
  ・果物類との交叉反応性は顕著
    →ラテックス・フルーツ症候群
・交差反応性の理由
  ・植物の生体防御蛋白質群
    →ラテックスアレルゲンとなっている
  ・生体防御蛋白質群の構造は植物の進化過程で保存されている
    →IgE抗体に対する共通のエピトープを提供
  ・生体防御蛋白の正体
    →クラスⅠキチナーゼ(PR-3)
  ・Hev b 6.02とPR-3は共通のへベインドメインを持つ。
    →交差反応性の原因に。
・対策
  ・手術はその日の1例目に
  ・ラテックス製品は全てラテックスフリーに
    →呼吸器のバッグ、手袋、駆血帯、尿道バルーン
     ドレーン、キャップ、・・・
  ・代替品が手に入らない場合
    →ビニールやサランラップでくるんで使う。
・麻酔科医の対応
  ・術前:リスク患者を把握する。
  ・術中:アナフィラキシー症状の原因として鑑別に上げる。
・周術期アナフィラキシーの症状
  ①心血管系症状
  ②気管支攣縮
  ③皮膚粘膜徴候
   ・周術期で頻度が高い初発症状
      →脈拍の消失、SpO2の低下、換気困難
・症状が一部だけの場合も。
 →他の鑑別がたくさん上がる。。。
  ・心血管系のみ
    →頻脈の場合:その他のショックをきたす疾患
    →徐脈の場合:麻薬の影響
  ・呼吸器系のみ
    →チューブトラブル、誤嚥性肺炎、緊張性気胸、喘息発作など
・アナフィラキシーが起こったら
  ①原因が疑われる薬剤、ラテックスの使用を中止する
  ②100%酸素の投与
  ③輸液
  ④循環虚脱を認める場合はエピネフリンiv
  ⑤気管支攣縮を認める場合はβ2刺激薬吸入
  ⑥重症例の場合は救援要請

・パウダーフリー手袋の効果についての論文紹介