初期研修医勉強会 担当:A先生
「ラテックスアレルギー」
・ラテックスアレルギーとは?
→即時型アレルギー反応
→ラテックス中のタンパク質が抗原となる。
・ラテックスとは?
・hevea brasiliensisというゴムの木
・白いミルクのような樹液
→超遠心分離にかけると・・・
→半透明のC−cerumと白いラテックス粒子層に分けられる
→C−cerum中にはアレルゲンとなるタンパクが含まれる
・ラテックス中アレルゲンはHevb1〜13に分類
→この中で最も注目されているのはHevb 6.02
・ラテックスアレルギーの患者に行われている検査
①ラテックス特異IgE抗体検査の測定
②皮膚のプリックテスト
→①は非侵襲的だが特異度が低い。
→②は検査によるアナフィラキシー症状の報告あり
→Hevb6.02特異IgE抗体検査
→感度、特異度ともに高く非侵襲的
→臨床応用される可能性もある
・交差反応について
・ラテックスアレルギーと診断された患者
→50~70%が他の植物に交叉反応性を示すという報告
・果物類との交叉反応性は顕著
→ラテックス・フルーツ症候群
・交差反応性の理由
・植物の生体防御蛋白質群
→ラテックスアレルゲンとなっている
・生体防御蛋白質群の構造は植物の進化過程で保存されている
→IgE抗体に対する共通のエピトープを提供
・生体防御蛋白の正体
→クラスⅠキチナーゼ(PR-3)
・Hev b 6.02とPR-3は共通のへベインドメインを持つ。
→交差反応性の原因に。
・対策
・手術はその日の1例目に
・ラテックス製品は全てラテックスフリーに
→呼吸器のバッグ、手袋、駆血帯、尿道バルーン
ドレーン、キャップ、・・・
・代替品が手に入らない場合
→ビニールやサランラップでくるんで使う。
・麻酔科医の対応
・術前:リスク患者を把握する。
・術中:アナフィラキシー症状の原因として鑑別に上げる。
・周術期アナフィラキシーの症状
①心血管系症状
②気管支攣縮
③皮膚粘膜徴候
・周術期で頻度が高い初発症状
→脈拍の消失、SpO2の低下、換気困難
・症状が一部だけの場合も。
→他の鑑別がたくさん上がる。。。
・心血管系のみ
→頻脈の場合:その他のショックをきたす疾患
→徐脈の場合:麻薬の影響
・呼吸器系のみ
→チューブトラブル、誤嚥性肺炎、緊張性気胸、喘息発作など
・アナフィラキシーが起こったら
①原因が疑われる薬剤、ラテックスの使用を中止する
②100%酸素の投与
③輸液
④循環虚脱を認める場合はエピネフリンiv
⑤気管支攣縮を認める場合はβ2刺激薬吸入
⑥重症例の場合は救援要請
・パウダーフリー手袋の効果についての論文紹介