2016年9月12日月曜日

関西支部学術集会

9月3日、大阪国際交流センターにて、
日本麻酔科学会・第62回関西支部学術集会が開催されました。
当院からは6名の先生が演題発表を行いました。








9月の日本心臓血管麻酔学会においても、
当院から多数の演題を発表する予定です。
専攻医Drの学術活動支援にもさらに力を入れていきたいと思います。

術前検査とASA-PS

初期研修医勉強会  担当:S先生

「術前検査とASA-PS」

・麻酔科ローテーション中の疑問
 →術前検査はどのくらい役に立っているのか。

・術前検査
  →病歴、身体所見、周術期のリスク、
   その他臨床的判断に基いて行う。
  ・白内障手術を行う健康な患者に術前検査は不要
 ・各種検査
  ・心電図
    →心血管系合併症や症状のある患者に。
  ・胸部X線
    →新たな/不安定な心肺病変の症状・所見がある場合に。
  ・CBC
    →出血イベントが予測される場合に。
  ・腎機能と電解質
    →腎不全患者とリスクのある症例に。
  ・血糖やHbA1c値
    →血糖値の異常がマネジメントを変えうる場合に。
  ・凝固検査
    →出血の病歴、抗凝固薬の服用、肝疾患等
     凝固異常のリスクがある患者に
重要なもの3つ・・・心電図、胸部Xp、CBC
 ・術前心電図
  ・異常が見つかったのは4.6〜31.7%
  ・マネジメントが変わったのは0〜2.2%
    ・当院の麻酔科管理症例数は6000件/年
    →12例はマネジメントが変わることになる。
  ・周術期心血管イベントリスク
    ・低リスク(<1 div="">
      →外来手術、乳癌、内視鏡、
       皮膚科、白内障
    ・中リスク(1-5%)
      →胸部、腹部、内頚動脈内膜剥離術、
       頭頸部、整形外科、前立腺
    ・高リスク(>5%) 
      →大動脈/大血管、末梢血管
  ・RCRI(Revised Cardiac Risk Index)を計算する。
 ・胸部Xp
  ・ルーチンで異常が見つかるのは10%
  ・マネジメントが変わるのは1.3%
  ・肺合併症のリスク因子
    ・COPD
    ・60歳以上
    ・ASA-PS 2以上
    ・低アルブミン⾎症
    ・緊急手術患者
    ・うっ血性心不全既往
    ・長時間手術
    ・頭頸部・上腹部手術
 ・CBC
  ・術前CBCで周術期に影響があった頻度:0.2%
  ・65歳以上で貧血や多血は術後30日以内の死亡率や
   心血管イベントと相関
・ASA-PS
  →患者の術前全身状態の分類
 ・ASA-PSの高さと死亡率に相関関係あり。
 ・ただしASA-PSから死亡率が予測されるわけではない。
 ・ASA-PSの問題点
   ・Inter-rater reliabilityの低さ
   ・年齢が考慮されていない
 ・ASA-PSだけでなく手術侵襲によるリスクの評価も必要