2014年1月18日土曜日

術後発熱

初期研修医勉強会 担当:Y先生

「術後発熱について」

・大手術後数日は38℃を超す発熱がよくある
・ほとんどの場合は自然に解熱する
  →しかし重篤な疾患が隠れていることもある
・発熱の原因
  ・Infection
    ・Surgical Site Infection
    ・Nosocomial Pneumonia・・・
  ・Non-Infection
    ・Suture Reaction
    ・DVT・・・
・術後反応熱のメカニズム
  ・侵襲により局所の炎症が起こりサイトカインが産生される
  ・侵襲が大きい程高熱を呈することが多い
  ・反応熱は術後2,3日で解熱することが多い
・発熱のタイミングにより鑑別
・薬剤熱
  ・定義:薬剤以外の原因が否定された発熱
  ・比較的徐脈は10%程度
     ・Antibiotics
     ・Anticonvulsant
     ・Flosemide
     ・Hydralazine
     ・Heparin・・・
・術後発熱の対応(IDSAガイドライン)
  ・術後48時間以内の発熱
    →呼吸器症状がないならばCXRは不要(level3
  ・尿路症状がないならば尿定性、培養は不要。
  ・48時間以上経過し尿道バルーンが挿入されている時
    →尿培養、定性提出(level3
  ・創部は毎日観察。感染を疑う徴候がなければ培養は不要
  ・常にDVT、PEの可能性を考慮する。
    (特に鎮静下、足が動かせない、悪性腫瘍の患者(level2
・血液培養は取るべき?
  →術後48時間は血液培養陽性率が低い。
  →医療経済的にも、労働力的にも省略してよい
・Surgical site infection(SSI)
  ・周術期感染症の38%を占める
  ・術後48時間以内の発熱はSSIは疑いにくい
  ・局所所見が最も有効
  ・創部周囲は1週間程度発赤するが抗菌薬等の治療なしに治癒する
  ・ほとんどのSSIは5日以内に症状が出ない
  ・部位による分類
    ・Superficial
    ・Deep incisional
    ・Organ/Space
・予防的抗菌薬投与
 ・抗菌薬の開始は術前60分以内
 ・半減期の2倍の時間経過
    or大量出血(>1500ml)でrepeat dosing
 ・Clean-contaminated, Contamitatedで最も効果がある
 ・バンコマイシンの使用は?
  ・RoutineのVancomycinの使用はSSIのリスクを上昇
  ・使う場面
    ・MRSAが施設にて培養された時
    ・MRSAが患者より培養された時 
    ・施設入所、透析患者などMRSA感染のリスクが高い時
 ・手術終了24時間以上の抗菌薬投与はSSIを減少させない
    ・耐性菌を増加させるかもしれない
・その他の感染防止
 ・Skin antisepsis
   →Chlorhexidine-alcohol>Popidon-iodine
 ・Hair removal
   ・ただし前日の剃毛はリスク上昇
   ・shaving<clipping< use of depilatory creams
 ・S.aureus decolonization
   ・S.aureus感染による入院期間の延長、医療費は膨大
   ・S.aureus感染
     →大部分がcross-infectionではなくpatient own flora
   ・鼻腔内S.aureus保菌
     →術後感染・透析患者・肝硬変患者における感染率を上昇
     →鼻腔内の除菌で感染率減少??