2016年9月12日月曜日

術前検査とASA-PS

初期研修医勉強会  担当:S先生

「術前検査とASA-PS」

・麻酔科ローテーション中の疑問
 →術前検査はどのくらい役に立っているのか。

・術前検査
  →病歴、身体所見、周術期のリスク、
   その他臨床的判断に基いて行う。
  ・白内障手術を行う健康な患者に術前検査は不要
 ・各種検査
  ・心電図
    →心血管系合併症や症状のある患者に。
  ・胸部X線
    →新たな/不安定な心肺病変の症状・所見がある場合に。
  ・CBC
    →出血イベントが予測される場合に。
  ・腎機能と電解質
    →腎不全患者とリスクのある症例に。
  ・血糖やHbA1c値
    →血糖値の異常がマネジメントを変えうる場合に。
  ・凝固検査
    →出血の病歴、抗凝固薬の服用、肝疾患等
     凝固異常のリスクがある患者に
重要なもの3つ・・・心電図、胸部Xp、CBC
 ・術前心電図
  ・異常が見つかったのは4.6〜31.7%
  ・マネジメントが変わったのは0〜2.2%
    ・当院の麻酔科管理症例数は6000件/年
    →12例はマネジメントが変わることになる。
  ・周術期心血管イベントリスク
    ・低リスク(<1 div="">
      →外来手術、乳癌、内視鏡、
       皮膚科、白内障
    ・中リスク(1-5%)
      →胸部、腹部、内頚動脈内膜剥離術、
       頭頸部、整形外科、前立腺
    ・高リスク(>5%) 
      →大動脈/大血管、末梢血管
  ・RCRI(Revised Cardiac Risk Index)を計算する。
 ・胸部Xp
  ・ルーチンで異常が見つかるのは10%
  ・マネジメントが変わるのは1.3%
  ・肺合併症のリスク因子
    ・COPD
    ・60歳以上
    ・ASA-PS 2以上
    ・低アルブミン⾎症
    ・緊急手術患者
    ・うっ血性心不全既往
    ・長時間手術
    ・頭頸部・上腹部手術
 ・CBC
  ・術前CBCで周術期に影響があった頻度:0.2%
  ・65歳以上で貧血や多血は術後30日以内の死亡率や
   心血管イベントと相関
・ASA-PS
  →患者の術前全身状態の分類
 ・ASA-PSの高さと死亡率に相関関係あり。
 ・ただしASA-PSから死亡率が予測されるわけではない。
 ・ASA-PSの問題点
   ・Inter-rater reliabilityの低さ
   ・年齢が考慮されていない
 ・ASA-PSだけでなく手術侵襲によるリスクの評価も必要



2016年8月6日土曜日

手術室の電気と放射線のお話

麻酔科勉強会 担当:Y先生

「手術室の電気と放射線のお話」

・手術室における電気のお話。
・手術室の電気トラブル
  ・感電、停電、漏電、Overload
・電位があるから電流が流れる。
  →患者を挟んで電位差が発生すれば感電リスクとなる。
・感電
  ・皮膚抵抗+体内抵抗に打ち勝って体内に電流が流れる。
    ・皮膚抵抗:1000-5000Ω
    ・体内抵抗:150-500Ω 
  ・特に心臓に通電した時が問題となる。
    →致死性不整脈を引き起こす恐れ
  ・MicroshockとMacroshock
    ・Microshock
      ・カテーテル等を介して体内に直接通電
      ・皮膚抵抗を越えなくてよいので小電流でも問題となる。
      ・0.1mAでもVFをきたすリスクがある。
      ・主に病院で問題となる感電
    ・Macroshock
            ・皮膚を介して感電、比較的大きな電流
      ・院外で一般的な感電
      ・皮膚抵抗は発汗により変化
      ・1mAで電気を感じる(最小感知電流)
      ・10-20mAで持続的筋収縮により離脱できなくなる。
       →離脱電流
  ・アース
   →医療機器をアースすることにより機器間の電位差をなくす。
   →感電を防ぐ。
  ・保護設置
    →患者が触れるすべての機器、露出金属を0.1Ω以下の導線で
        医用設置センタに1点集中接地することによって、
        すべての金属表面間の電位差を10 mV以下に抑える。
      →手術室の3点コンセントの下の穴がアース。
     ・アースピンは最も長くなっている。
       →最初にアースが入り、抜くときも最後まで残る。
・もしも地絡や感電などで大電流が流れると・・・
   →電流本幹のヒューズが飛んで施設全体が停電する可能性。
   →患者の生命に関わる医療機器を扱う病院では危険!!!
   →非接地配線方式の採用。
     ・絶縁トランスの使用
       →電磁誘導により電気的に隔離された二次回路を形成。
       →手術室は電気的に隔離(isolation)されている。
       →地絡によっても本線ののヒューズが飛ぶことはない。
     ・漏電監視モニターの使用
       ・機器に絶縁不良が、起こっていないか監視、警報する装置。
       ・2mA以上の漏れ電流が発生した場合は、
        ランプと警報音により危険状態を警告。
       ・もし絶縁監視警報が鳴ったら1つ1つ機器をコンセントから抜き、
        どの機器で警報が停止するかを確認する。
・停電時には???
  ・一般非常電源(白)
    →40秒以内に自家発電設備が電圧を確立。
  ・特別非常電源(当院では赤)
    →10秒以内に自家発電設備が電圧を確立。
  ・瞬時特別非常電源(当院では緑)
    →0.5秒以内に電池設備が電圧を確立、10分は持つ。
・ロードモニター
  ・各コンセントユニットは20Aまで。
  ・16Aを越えると警告が鳴る。
    ・ウォームタッチ、TEEは電力消費が非常に大きい。
      →タコ足配線禁忌!
  ・体表エコーも電力消費が大きい。できるだけ単独で。
  ・HOTLINEもタコ足配線は避けましょう。

・手術室における放射線のお話
 ・確率的影響と確定的影響
 ・Gy(グレイ)とSv(シーベルト)
 ・線量限度
   ・男性および妊娠の可能性、意思のない女性
     →5年で100mSv、1年で50mSv
   ・女性(妊娠予定がある方)
     →5年で100mSv、1年で50mSv、3カ月で5mSv
   ・女性(妊娠中)
     →妊娠予定のある女性の規則に加えて、
      妊娠の事実を知った時から出産までに
      内部被ばく限度1mSv, 腹部表面被ばく限度2mSv.
   ・目安として1.8mSv/月を越えて被ばくしてはならない。
 ・術後ポータブル写真撮影時にどれだけ離れればよいか。
   ・患者から2m離れると・・・
     →胸部単純:0.09uSv、腹部単純:0.52uSvを被ばく。
   ・通常、自然放射線は6.6uSv/day浴びている。
     →撮影時は2m離れればほぼ被ばくの影響は皆無。
 ・CT、透視、血管造影は大量に被ばくするので要注意。
   →必ずプロテクターを着用すること。
 ・X線透視時にはベッド下に光電管が来ることが多い。
   →放射線は下から上に向かって放射される。
   →そしてベッドや患者に反射して周囲に散らばる。
   →麻酔科医は主に下からの放射線を防御すべし。
 ・プロテクターの選定
   ・重いプロテクターと軽いプロテクター、どちらがよいか。
     ・0.25mmと0.35mmとで遮へい能力に有意差はない。
     ・重い防護衣を着用すると診療行為に対する集中力が
      低下したり腰痛の原因になる。
    →軽いプロテクターを選ぶべし。



アセトアミノフェン

麻酔科勉強会 担当:T先生

「アセトアミノフェン」

・アセトアミノフェンの歴史
  ・1877年、Morse(米)がはじめて合成
  ・1887年、von mering(独)が鎮痛薬として臨床使用
  ・1953年、処方薬として発売
   その後、忘れられる
  ・1940年代、アセトアミノフェンがアニリド系の代謝産物と判明
  ・1955年、小児用のTylenol発売
・作用機序
  →実はよくわかっていない・
   ・ペルオキシダーゼ阻害作用説
   ・AM404説
   ・Cox-3阻害作用説
・薬物動態
 ・IVもoralも投与直後以外は血漿中濃度の推移同様
 ・しかし、CSF中濃度(効果部位?)はIV, oral, rectalの順にピーク。
   →IV: 2h後, oral: 4h後, rectal: 6h後
   ・肝臓での初回通過効果の有無
   ・投与直後の急激な濃度上昇→濃度勾配によるCSFへの受動拡散
 ・坐薬は以外と時間かかる(便やpHの影響?)
・効果のほどは?
 ・術後痛に対する単回IV投与に関するメタアナリシス
   →4時間後も50%以上の鎮痛が得られているのは、
    アセトアミノフェン37% vs プラセボ 16%
    ・オピオイド使用量減少
    ・しかしオピオイド関連の副作用には有意差なし
・肝障害について
  ・CYP2E1による代謝産物NAPQI
    →グルタチオン抱合され排泄
    →グルタチオンが枯渇すると肝障害
  ・肝障害→炎症→さらなる肝障害?
  ・飲酒→CYP2E1誘導→NAPQI増加
  ・低栄養→グルタチオン不足
 ・150mg/kg以上で肝障害の可能性 350mg/kg以上で重篤な肝障害
 ・慢性肝疾患(肝硬変含む)でも4g/日までなら
  問題ないとする報告が多い。
   →14日以上投与する場合は2-3g/日にするべき。
 ・治療
   →活性炭、1h以内なら胃洗浄
    N-アセチルシステイン(グルタチオン前駆体)


  TAVI症例も増えてきました。

2016年6月16日木曜日

開心術後のCPR

ICU勉強会 担当:T先生

「開心術後の心肺蘇生」

・心肺停止の定義
  →心機能,肺機能のいずれか、または両方が停止状態
 ・心肺停止の判断は
   ①深昏睡
   ②自発呼吸消失
   ③頸動脈(乳児は上腕動脈)拍動消失
   ④心電図モニター上,心静止(asystole),心室細動(VF),
    無脈性心室頻拍(pulseless VT)、無脈性電気活動(PEA)
・開心術後の心肺停止
  ・CABGもしくはAVR後の心肺停止を解析したイギリスの報告では
   1999-2008年の7029例のうち108例(1.5%)が心肺停止
     ・心停止:86例(80%)、呼吸停止:13例(12%)
       心停止n=86のうち・・・
          ・VF/VT:70%
          ・Asystole:17%
          ・PEA:13%
              同じく心停止n=86のうち・・・
          ・心筋梗塞:53%
          ・心タンポナーデ/出血:24%
          ・ブロック:5%
          ・低K血症:6%
          ・原因不明:12%
       呼吸停止のn=13例のうち・・・
                    ・ARDS/COPD増悪:9例
          ・Stroke/narcosis(抜管後):4例
・心肺停止の時期は術当日が最も多い。
・蘇生方法
  →再開胸:52%, Bypass再建:16%
      再度bypass施行:6%, IABP:45%
・生存退院率は心停止で50%, 呼吸停止で69%
・ガイドラインあります。
  →EACTS guideline for resuscitation of a patient who arrests after cardiac surgery.
・開心術後CPRの注意点
  ・すぐには胸骨圧迫をしない
  ・VF/VTの場合にはまず除細動をする
  ・徐脈性不整脈から心停止となった場合はペーシングを
  ・ルーチンにアドレナリンは投与しない
  ・蘇生の可能性が低ければすぐに再開胸を
・気道・呼吸管理については・・・
  ・挿管されていたらFiO2=100%にしてPEEPをオフにする
  ・100%酸素のバッグバルブマスクに変えて
   挿管チューブの位置確認とカフ圧確認
  ・両側の胸郭運動、呼吸音確認(気胸血胸の評価)
  ・緊張性気胸が疑われたら第2肋間鎖骨中線に
   太いカニューレを留置
・CPAの確認
  ・まず頸動脈を触れる(10秒以内)
  ・その間にA lineやCVP、肺動脈圧PAPなどを確認する
  ・頸動脈も触れず波形が出ていなければ
   CPAとして人を集めて蘇生開始
  ・いずれかがある場合はNBPなども確認
・胸骨圧迫前に
  ・VF/pulseless VT
     →まずは心拍再開するまで3回DCを行う
     →心拍再開しなければ胸骨圧迫を行う
     →アミオダロン300mgをCVから静注
     →緊急再開胸の準備をしながら
      2分ごとのCPRとDCを継続する
  ・Brady cardia / asystole
     →心外膜ペーシングがあればすぐに
      DDDでbpm90にて最大出力にてpacingを行う
      (なければ経皮ペーシングを)
     →1分間で効果なしor1分以内にpacingできない場合は
      胸骨圧迫を開始する
     →可及的にアトロピン3mg投与を考慮する
          →緊急再開胸までCPR継続
  ・PEA
     →pacingをしている場合は
      VF誘発の可能性があるので中止する
     →緊急再開胸までCPRを行う
・胸骨圧迫を直ちには行わない理由
  ・2分以内に除細動すると生存が増えるという報告が多い
  ・胸部術後の胸骨圧迫による心損傷が多数報告されている
・ペーシングについて
  ・Pacingの有用性を示した報告はない
  ・侵襲性は低い
   →心停止、重度の徐脈に対してはまず試みるべきとの推奨
・アドレナリンについて
  ・心臓手術後の心停止にアドレナリンの有用性を示す研究はない
  ・一般的な心停止に対するアドレナリンの有用性は
   動物実験レベルのものしかない
  ・自己心拍再開後に重度の高血圧で大量に失血して
   心停止になった報告がある
   →可逆的な原因があったときに
    重度の高血圧をきたすリスクがある
 →アドレナリンのルーチンでの使用を推奨しない
 →0.1-0.3㎎静注を推奨
・再開胸について
  ・胸骨正中切開後の患者は再開胸が容易である
  ・心停止後10分以内に開胸した方が
   生存率が高かったとの報告がある(48% vs 12%)
  ・EACTSでもCPRが5~10分以上必要であると予測される場合は
      適応になるとしている
  ・術後10日は癒着が形成されないため再開胸を推奨している








2016年4月30日土曜日

AHA CPR Guidelines 2015

初期研修医勉強会  担当:M先生

「AHA CPR GUIDELINES 2015」

・AHA CPR GUIDELINES 2010からの主な変更点
  ・EtCO2モニタリング下CPRによる予後予測
  ・CPR中バソプレシン単独投与をアルゴリズムから削除
  ・アドレナリン投与について
  ・入院患者心停止におけるステロイド、バソプレシン、
   アドレナリン併用治療について
  ・ECPRの使用について
・CPRの質をモニタリングすること
  ・4つのモニタリング。
    →EtCO2、冠動脈圧、動脈圧(拡張期、収縮期)、ScvO2
   →CPR中の心拍出量と心筋血流量とが相関。
  ・これら数値上昇はROSCの良い指標になる。
  ・ROSCとETCO2の関連
    ・Retrospective case control study (チェコ)
     ・単施設で院外心停止症例108名を対象。
     ・ROSCとCO2上昇関連性を調べた。
      →ROSC群ほうがCO2平均値が優位に高かった。
      →ROSC前後でCO2値平均9.95mmHgの差があった。
    ・蘇生失敗を予測する。
      →EtCO2が20分間の蘇生努力後に10mmHg以下である場合、
       ROSC及び生存の可能性が極めて低かった。
      →交絡因子が存在する可能性や, 症例数の少なさが問題。
     ・上記の内容を蘇生努力を中止する時期を決定する集学的アプローチの
      一つとして考慮して良いが、単独で用いるべきではない。
・バソプレッシン
  ・生存入院率、自己心拍再開率、生存退院率、一年生存率、
   退院時神経学的機能改善に関して有意差は認められなかった。
   →アドレナリン単剤と比較しバソプレシンの有効性認められず。
   →CPR中バソプレシン単独投与をアルゴリズムから削除。
・アドレナリンの投与について
  ・ショック可能リズム群
     →アドレナリン投与しない群でROSC率、予後、
      神経学的転帰が良い。
     →アドレナリン投与群ではROSC率、予後は良いが、
      神経学的転帰は変化なし。
  ・非ショック可能群
     →アドレナリン投与群では病院前ROSC率が上昇、
      20分以内の投与で1ヶ月生存率上昇、神経学的転帰は悪化。
  →初期のショック非適応リズムによる心停止後、
   できるだけ速やかにアドレナリンを投与することは妥当として良い。
・入院患者心停止における, ステロイド, バソプレシン, エピネフリン併用治療
   ・ステロイドはIHCA治療において、
    バソプレシン及びアドレナリンとの併用である程度有用な可能性がある。
   ・フォローアップの研究結果が出るまではルーチンでの使用は
    推奨されないが併用は妥当として良い。
・ECPR
  →Extracorporeal CPR:PCPSを用いた心肺蘇生
  →CCPR:Chest Compression Only CPR:胸骨圧迫のみの心肺蘇生
  ・AHA-G2010
    →ECPRは血流停止時間の短い心停止患者でその原因が治癒可能な場合、
     もしくは心臓移植や冠血行再建術により修復可能な場合に
     考慮すべきである(クラスIIb)
    →ERC-G2010では記載なし
  ・目撃ある院内心停止においてCCPR群よりECPR群のほうが神経学的転帰が良く
   生存退院率が高い。蘇生後初期の死亡率も低下する。
  ・目撃ある院外心原性心停止に対するECPR群は
   CCPR群より神経学的転帰が良い。
  ・初期波形VF/VTの院外心原性心停止患者ではCCPR群よりECPR群のほうが
   1ヶ月後、6ヶ月後の神経学的転帰がよい。
    ・ECPRを使用すると従来のCPRで蘇生しない患者において、
   治癒可能な病態を治療するための時間、
   または心臓移植を手配するための時間稼ぎをできる可能性がある。
  ・ERCPを迅速に実施することで生存期間を延長できる。
  ・初回の従来のCPRに反応しなかった一部の心停止患者に対し、
   環境設備が整っていればECPRを考慮しても良い。
・BLSの変更点については・・・
  ・救助者が傷病者のそばを離れずに救急対応システムに通報できるよう、
   携帯電話の使用について明記。
  ・心停止リスクのある人々がいる地域ではPADプログラムを実行することが推奨。
  ・成人に対する推奨される胸骨圧迫のテンポ
     →100回以上から100~120回へと更新。
  ・成人に対する推奨される胸骨圧迫の深さが5cm以上6cm以下と明記。
  ・バイスタンダーによるナロキソン投与を考慮しても良い。
     →オピオイド関連の生命を脅かす緊急事態が疑われる場合。



2016年4月7日木曜日

新専攻医

新年度となり、当院麻酔科は新たに
4人の専攻医(後期研修医)を迎えました。







今年も北は北海道から、西は九州からと、
様々な病院から当院麻酔科に来てくれました。
忙しい病院ですが、当院での修行を経て、
ぜひ麻酔科医として大きく成長して頂けるよう、
スタッフ一同、教育に力を入れていこうと思います。

ペースメーカー勉強会

ICU勉強会  担当:臨床工学技士 Yさん

・本体
 ・本体は電子回路とリチウム電池、および収納ケースから成る。
 ・前胸部皮下に埋め込まれる。
   →成長が見込まれる小児の場合は腹部のケースも。
 ・収納ケースは缶詰と同じ意味で缶canと呼ばれる。
・リード
 ・タイン・スクリュー
・デバイスの種類
 ・PM:徐脈
 ・ICD:致死性不整脈
 ・CRTP:心不全
 ・CRTD:致死性不整脈+心不全
・体外式ペースメーカー
 ・一時的にペーシングを入れる機器
 ・設定変更も簡易的にできるが細かい設定はできない
 ・電池寿命:500時間程度(DDD70ppm設定 5V出力)
 ・電池指示灯点灯:約36時間
 ・交換時:30秒間のバックアップペース
・PM
 ・日本語では「徐脈治療器」
 ・原則的に徐脈に対して植込み
    →洞不全症候群、AVBなど
 ・脈拍が設定以下になると刺激
・ICD
 ・植込み型除細動器
 ・致死性不整脈に対して治療(ATP or Shock)を行う。
・ILR
 ・植込型心電用ループレコーダ
 ・長期的に心電図の記録を行う
 ・Brady・Asystole・ Tachycardia の記録を行うことができる。
・モード
 ・NBGコード
   →アルファベットであらわされる国際ペースメーカコード
・トラブルシューティング
 ・ペーシング不全とセンシング不全
 ・ペーシングを行っているにも関わらず心筋が反応しない
   →ペーシングスパイクのみで、QRS波が無い。
   →徐脈になる可能性あり!
 ・患者サイド
   ・刺激閾値の上昇(薬剤による一過性の上昇など)
     →食事,服薬,代謝等も関係
   ・VW分類Ic群:ペーシング閾値上昇の可能性
       Ⅲ群:除細動閾値を上昇させる可能性あり!!
 ・リードサイド
   ・電極の離脱・位置ズレ
   ・破損
   ・接続の外れ
・アンダーセンシング
 ・自己脈(P波・QRS波)を見逃している
 ・自己収縮波が出ているにもかかわらず、ペーシングしている
 ・R on TによるVfの可能性
 ・不要なペーシングにより電池消耗も早まる
 ・原因
   ・患者サイド
     ・センシング閾値の変化
   ・リードサイド
     ・電極の離脱・位置ズレ
     ・損傷
     ・接続外れ
   ・ペースメーカサイド
     ・感度設定値が高すぎる(感度が鈍すぎる )
     ・電池消耗
・オーバーセンシング
 ・QRS波が出ていないのにペーシングが抑制
    →徐脈になる可能性
 ・原因
   ・患者サイド
     ・筋電位
     ・EMI(電磁干渉) 
   ・リードサイド
     ・被膜損傷 
   ・ペースメーカサイド
     ・感度設定値が低すぎる(感度が鋭すぎる )
・術中設定変更
  ・固定モード(AOO・VOO・DOO)の選択
  ・センシングをせず、設定Rateでペーシングのみ
  ・長所:ノイズなどの外部刺激が入っても
      ペーシングが抑制されない
  ・短所:自己脈が出ていてもペーシングが入る
     →Spike on Tが発生する可能性あり
・自己脈チェック・設定変更は麻酔導入後!
  ・覚醒時、自己脈が確認できても、
   麻酔導入後にRateの変動が起こる可能性あり
・設定解除は抜管前!
  ・抜管の刺激で期外収縮が起こる可能性あり
  ・Spike on Tを防ぐため、先に変更する
・ICD・CRTDの治療機能は術中はOFFに設定
  ・電気メスのノイズを頻脈と誤認識してしまうと、
   不適切にショックが放出される危険性がある
    →VT・VFが発生しても治療されない。
・パッド装着部位
   1.心臓を挟む位置
   2.植込み型デバイスから8cm離す
・まず、患者の自己脈チェック(麻酔導入後)
 ・自己脈でもRate・血圧が維持できる場合
  ・Mode:DDIやVVIなどのバックアップモード
  ・Rate:自己脈より低い設定
 ・自己脈がでないor血圧が維持できない場合
  ・Mode:DOOやVOOなどの固定モード
  ・Rate:自己脈より高い設定



   田中竜馬Drが当院GICUを訪問されました。